施主の平井竜也さん。筆者がガレージを取材したいとイベントで声をかけたときは愛知県のホットロッドショップ『HOT STUFF』で仕上げたフォード・37年式を展示。その光輝くクルマももちろん魅力であったが、このクルマを維持しているガレージが気になったことを鮮明に覚えている。それから4年あまりの月日が経過し、浜名湖湖畔に建てられたログハウスをベースにしたガレージハウスを訪れたのは2016年7月。湖畔を望む別荘地に建てられた約200坪の敷地は、まるで映画の1シーンのような空間を見せていただいた。
約8年前に『LOGRAF』によって建てられたログスタイルのガレージハウス。きっかけは浜松市内で暮らす平井夫妻が、趣味であったジェットスキーやパワーボートを楽しみに浜名湖に足を運ぶうちに、この素敵な場所に家を建てたいと考えたこと。ご主人は趣味のためといいつつも、好きなクルマを自宅の横のガレージで守ることが最大の目的で新居を建てることを決意した。そして理想のガレージハウスをいっしょになってプランニングしたのが『LOGRAF』の松田さん。じつは、前述の『HOT STUFF』代表の山口代表の同級生ということもあり、気を遣うことなく注文ができるのが最大の魅力であった。
もちろん、こだわりのフォードを入れるガレージということでアメリカの2×4の建築スタイルにしたいことはすでに施主の平井さんのなかでは決めていた。湖を眺めることができる最高のロケーションのなかで、いかに思い描いていたガレージハウスを建てるかをすべて説明し、何回もパースを描いてもらいながら、理想のガレージになるまで、お互い納得するまで打ち合わせを繰り返した。今までの作品と同様に躯体 は2×4木造の軸組工法。そして細かなディテールは すべて平井氏が部材を選び、壁面の石材やライトなどはすべて施主支給というスタイル。とくにガレージは細かな指示が入った。ガレージ シャッターは『三和シャッター』製スチールをベースに『M&K KUSTOM』の小林さんによるピンストライプが入るほか、木製とアイアンによる観音開きのドアも特別にオーダー。これはスチールのシャッターを開けてしまえば、よりアメリカンな空間を演出できるアイデアだ。ガレージの床は、住宅の床材を採用。そのまわりに石材を敷き詰めるなど今までにない暖かな空間としている。今ではクルマを出して雑巾がけをするなど、木をいたわるなど細かなメンテも平井さんのルーティンワーク。天井から吊るされたライトも船舶用のものをチョイスしている。建築当時は’37年式 フォードが入っていたが、現在はアメリカから個人輸入した’32年式フォード・ロードスターが入る。
そして向かって反対側にはV8エンジンを搭載した24フィートのパワーボートが入る空間がある。シーズンになるとマリーナで停泊となるが、シーズン外はここがボートのガレージとなっている。ほかにも、’65年式マスタングなどクルマが多数所有している平井さんにとってはアメリカのような大きなアプローチで使い勝手のいい空間に仕上がっている。
もちろんこだわりはガレージだけではなく、植えられたヤシの木や、 壁面、物置として使っている小屋などそのすべてがアメリカンの空間になるように整えられている。のちに日本のスワップミートで購入したパーキングメーターや、スチールのサインなどが空間をよりよいものに彩っている。
また母屋もログハウスのようなスタイルにバランスよく配置した石の壁面やグリーンをテーマとしたドアやキッチン、ライトなどがじつにうまく作用している。奥様がこだわったというのはヤマハ製のキッチンだけというのはじつに驚きだ。リビング横に配置したバーベキュースペースもお気に入りで、シーズンになると毎週のように友人を招いてバーベキューが開催される。
2階のデッキからの眺望も最高のひとこと。街中の喧騒とは無縁の空間でのライフスタイルを満喫している平井さんファミリー。今年で10歳になる健斗くんも学校まで40分かけて通うが「将来はお父さんのクルマを運転したい」と父親のDNAを着実に受け継いでいる。
一見、簡単そうで、バランスが難しいアメリカをテーマとしたガレージハウス。建築主と施工主の絶妙なバランスにより実現したともいえる。ピカピカのショーカーが収まるガレージは、アメリカを愛するオーナーのこだわりの賜物であったことを再認識した取材となり、平井さんの創意工夫が表現された夢の空間を見ることができて幸せな気持ちで取材陣は帰路についた。
収納車両● 1932 FORD ROADSTAR、 1965 FORD MUSTANG、 2015 DODGE RAM
小松男
夢のクルマ! 「デロリアン」から「ローライダー」まで楽しめる「ピーター ...
2021.01.07
アメリカ、ロサンゼルスにある米自動車文化の発信拠点「ピーターセン・ミュージアム」には常設展、特別展を含め、テーマごとに常時100台以上のクルマが展示されている。しかしそれは彼らの所蔵するクルマのホンの ...
「ハーマン・ミラー」修理ならお任せ! ロスのスゴ腕! 「ヴィンテージ家 ...
2021.01.06
「腕の良い家具職人がいるから行ってみなよ」。そう友人に聞いて訪れたのは、ロサンゼルス、ベニスBlvd.沿いのヴィンテージ家具ショップ「HUMEMODERN」。美しい家具ショップを想像して来たけれど、そ ...
NOS搭載! 「鉄仮面」スカイラインRSターボのゼロヨン仕様を1/24 ...
2021.01.09
6代目・R30系スカイラインは1981年にデビュー。サーフラインを取り去ったクリーンなデザインが特徴で、ケンメリR以来久しぶりのDOHC搭載車2000RSは、ラインナップ中最も話題となった。エンジンは ...
「ポルシェ911」がキッチンから見えるガレージハウス! 愛車とともに眺 ...
2020.11.02
空間設計をするうえで大切なこと。それは生活シーンを思い描きながら、スケッチを重ねることだ。立ち位置、座る場所、視線……。心の目が捉えた絵が、オーナーの満足度をよりいっそう高 ...