LIFE STYLE

2021.05.21

「機械式腕時計」の頂点! 「ヴィンテージ・パテック」の深淵なる世界【ヴィンテージライフ】



「機械式腕時計」の頂点「ヴィンテージ・パテックフィリップ」を「VINTAGE LIFE」のアーカイブからご紹介していこう。

パテック フィリップを代表するシリーズが、カラトラバである。

登場したのは1932年。現在ではそのスタイルは「ラウンドウォッチデザインの規範」と呼ばれ、時計界に多大な影響を及ぼした。

クラシックなデザインの時計というイメージが先行するが、デビュー当時はまだアール・デコの影響が色濃く残り、装飾過多なものが多かった時代で、すっきりしたラウンド型ケースに3針のシンプルな初代カラトラバ「Ref.96」は、美的な最先端を行くものだったのだ。

時刻の読み取りを最優先に考えられたこのデザインは「機能が形態を決定する」というバウハウス哲学の流れを汲んでいる。

リューズの巻き上げ、テンプや輪列の回転、時・分・秒の針の運行といった腕時計の持つ基本的な動作は"円運動"で行われていることから、それらを収めるラウンドケースこそ、理にかなった機能美であることを示した。

またデザインのみならずディテールへもこだわった。ブランドロゴは、掘り込んだ文字に漆やエナメルの埋め込み後に表面をペーパーがけする象嵌仕上げをするほか、針やインデックスへの徹底したディテールへの仕上げによって、ほかとの圧倒的な違いを知らしめたのである。

【写真】ムーブメントまで美しいパテック!

カラトラバの様々なデザイン!

パテック フィリップはある時期からラウンド型モデルを、すべてカラトラバとカテゴライズしている。

そのため、カラトラバにはディテールの微差、搭載するムーブメントの違いによって、さまざまなバリエーションが存在。

そこには防水性、防塵性、耐磁性といった、今では当たり前の機能の試行錯誤の過程を見ることができる。

中には、強い日差しに文字盤が焼けないようにと採用された、陶製のダイアルの希少なモデルも存在し「トロピカル」というペットネームまで与えられる例もある。

確かに永久カレンダーやワールドタイムなどのコンプリケーションモデルには世界最高のマニュファクチュールを味わう醍醐味があるが、80年間で多様なモデルを輩出してきたカラトラバには、自分だけのモデルを見つける楽しみがある。

そこにこそ、シンプルだが奥深いカラトラバの魅力があるのである。






PATEK PHILIPPE Ref.96

1953年製。ブレゲ数字のインデックスが採用された最終系モデル。このムーブメントは、センターに配置された4番車を支えるブリッジが絶妙なラインを描き、ジュネーブ製腕時計の独特の意匠を表現する。

18KYGケース。手巻き。

PATEK PHILIPPE Ref.96/

1940年代製。ステンレススティール製のカラトラバ。ピンクのマットダイヤルにアラビア数字の組み合わせ。

6時位置のレイルトラックを施したスモールセコンドがヴィンテージ感を引き立てる1本。
SSケース。手巻き。

PATEK PHILIPPE Ref.96/
1936年製。インデックスとインナーにコントラストをつけたセクターダイアルのタイプ。
バランスの良い扇状のラインとツートーンカラーを構成するデザインは、アール・デコを彷彿とさせる。
現存数も少なく、希少価値のあるモデルだ。
18KYGケース。手巻き。

VINTAGE LIFE vol.11

取材協力:プライベートアイズ

photo:Yasuhiro YOKOSAWA text:Katsumi TAKAHASHI

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