OUTDOOR

2020.06.10

古き良き自転車、究極の楽しみ方! 世界に広がるイタリア・トスカーナのサイクルイベント「エロイカ」

曲線フレームが美しいコルナゴ マスターTTを披露する参加者。自転車は崇めるものではなく、使うものだ! と言っているようだ。

ヴィンテージ自転車のイベントとしてあまりにも有名なエロイカ。コロナの影響で今年10月の開催が心配されているが、EU内の6月17日現在では一応開催される予定となっているようだ。ここでは2019年10月6日にトスカーナ地方を舞台に開催された本家エロイカを紹介させていただこう。

8000人のヴィンテージ自転車フリークが集まる
 
世界遺産が多く点在するイタリア、トスカーナ地方。カラフルなヴィンテージバイクに乗り、美しいウールジャージを身にまとう8,000人以上のサイクリストたちが一堂に疾走するイベント、それが本家、イタリアのエロイカである。
 
1997年にスタートしたエロイカ。今では生まれ故郷のイタリアを飛び出し、着々と世界に広がっている。現在では日本、米国、オラン
ダ、スペイン、イギリス、南アフリカでも開催され、世界中のサイクリストを魅了し続けているのだ。
 
本家のスタートとゴールはトスカーナ地方の中央にある小さな町、ガイオーレ・イン・キャンティ。ルートは5つで、時間制限を気にせずのんびりと走れるルート46㎞(標高700m)から、キャンティワインとブルネッロワインの地域を結ぶ最も長く厳しいルート209㎞(標高3,800m)までの6ルートが設定されている。
 
エロイカを楽しむ紳士たち

休憩地点ではロコでオーガニックな食材がふるまわれる

全てのコースは整った美しい葡萄畑をすり抜けるルートと、今でも数多く残っているグラベルロードを通るルートとなっている。古い自転車で古くからの美しいコースを走ると、まるで過去にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ってしまう。コースの所々に配置されるエイドステーションではワイン、地元のサラミ、スープ、季節のフルーツやスイーツが振舞われる。食材をロコでオーガニックなものにこだわっているのも、このイベントの特徴。ここでしか食べられない食べ物や、地元の方々のもてなしが、サイクリストの疲れを癒してくれるのだ。

 一番過酷なロングルートのスタートは、暗闇がすべてを包みこむ午前5時。1930年以前に製造された自転車の場合はさらに早く、4時30分のスタート。古い自転車だけにトラブルも楽しみながらルートを走破していくことになるが、3日後のゴール最終は午後10時と決められている。疲れと感動のあまり、嬉し涙を浮かべながらゴールする人々の様子は、エロイカの風物詩だ。ちなみにエロイカでは、参加者全体の約40%を外国人が占めており、特にドイツ、スイス、オランダ、ベルギー、次いでアメリカとオーストラリアからのサイクリストが多いという。


エロイカでタンデム自転車を楽しむ男女

タイムスリップ、仲間との不思議な連帯感が魅力的!

時代の遺産となった古い自転車を求め、かつてのファッションを身にまといながら、人々はこぞってこのガイオーレ・イン・キャンティに集まる。その理由はエロイカの精神そのものにある。エロイカのモットーは「The beauty off fatigue and the thri ll of conquest(疲れの美しさを再発見し、冒険のスリルを楽しむ)」というもの。これがすべてを物語っている。エロイカでは、生身の人間が中心的な存在なのだ。
 
この3日間で参加者は、最先端の技術を忘れ、仲間と汗をかき、操作性の難しい重い自転車に乗り、おいしいローカルフードを食べながら、タイムスリップと不思議な連帯感を楽しむことができる。また、最低限の規定を守れば、エロイカには誰でも参加できる。

エロイカを発案したジャンカルロ・ブロッチ氏が23回目の開催を経てこうコメントしている。

「エロイカは、自転車の世界だけに止まらない。我々は参加者のみなさんが探し求めていた世界を作り、このイベントで表現している」
 
日本でもエロイカ大会の人気が増しており、神々が宿る群馬県吾妻郡、草津温泉、中之条町、嬬恋村、北軽井沢の神秘的な山間を疾走するコースが人気で、イタリアと比較しても遜色ない本格的なコースとなっている。そのため、来日するライダーも年々増えているのだ。
 
日本で製造された自転車も目立ちはじめ、日本独自で発展してきた自転車文化は世界で羽ばたき、美しいものの好きな人同士の輪が広がってゆくのだ。
 
詳しい写真とレポートはVINTAGE LIFE vol.22をご覧あれ

Photo : © L’Eroica Text : Marco Favaro

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