2018年はポルシェの誕生70周年(1948年にグミュントでポルシェの名を冠した第1号車356-001が誕生したのに由来)ということもあり、世界各地で様々なイベントが開催された。
その中であまり大きく取り上げられる存在ではなかったが、ピーターセン・ミュージアムで2019年1月まで開催された特別展『THE PORSCHE EFFECT』は、本家ポルシェ・ミュージアムに勝るとも劣らない充実した内容となっていた。
特徴的なのは、ポルシェ・ミュージアムの協力を得ながらも、充実したピーターセン・ミュージアムのコレクションと、アメリカのコレクターたちの貴重なクルマたちを集め、常に最大の市場であり続けたアメリカの視線を通じてのポルシェ・ヒストリーが語られていたことだ。
その中でも白眉といえるのが1939年のベルリン〜ローマ・ラリーのためにフェルディナント・ポルシェ博士が開発した「Typ64」である。KdF(後のVWビートル)の空冷フラット4をリヤに搭載し、オールアルミ製の流麗なボディを纏ったこのクルマは、3台が製作されたものの、戦争の勃発を受けラリー自体が中止。2台はなんとか戦争を生き延びたものの、紆余曲折の末、現存するのはこれ1台きり(ポルシェ・ミュージアムに展示されているボディはレプリカだ)という、実に貴重な1台なのである。
それを見られるだけでも眼福なのだが、グミュントで生産されたアルミボディを持つ1949年型の「356/2 グミュント・クーペ」、1955
年型の「356プリA カブリオレ」、スティーブ・マックイーンが所有していた1958年型「356A 1600スーパー・スピードスター」(現在は息子のチャド・マックイーンが所有)といった4気筒モデルをはじめ、「906」「917K」「959 パリ=ダカール」(なんと当時の砂埃がついたま!)、「919 ハイブリッド」など、ポルシェの歴史を代表するレンシュポルトたちが一同に集結した光景は圧巻だった。
そんな展示内容をさらに厚く、濃いものにしていたのが、貴重なクレイモデルの数々だ。1952年にVWの依頼でデザインされたスモールスポーツ「Typ534」や、ポスト356を狙って1957年にデザインされた「Typ695T7」「Typ754T7」など、本国から持ち込まれたものが多かったが、その中で個人的に興味をそそられたのが、1台の見慣れないセダンのクレイモデルだった。
実はこれは1952年にアメリカにかつて存在した車両メーカーであるスチュードベーカーの依頼を受け、ポルシェが開発した「Typ542」と呼ばれる空冷6気筒RRの4ドア・セダンなのだ。当時1台だけ製作され極秘裏にテストされたが、一度も表舞台に立つことなく廃棄されたという。
おそらく公の場で写真や図面などもレイアウトして「Typ542」の詳細が語られたのは、これが初めて。そういう意味でも今回の催しは、アメリカでしかできないポルシェ70周年記念展であったといえるだろう。
PETERSEN Museum https://www.petersen.org/
Address:6060 Wilshire Blvd, Los Angeles, CA 90036 USA
営業時間&料金:月〜金=6時〜8時 $20/8時〜23時 $16/土、日 6時〜23時 $16
Photo:Sochi Kageyama
Text:Yoshio Fujiwara
媒体:『VINTAGE LIFE』 Vol.21
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