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2020.03.09

RM的台湾・台中鉄道見聞録 その3「底抜けに明るい店員さんやかわいい看板犬に癒される」

「あれもこれも、食べていきな!」 お店の人の温かさに思わず感動

 前回は荘厳かつ味わい深い2代目台中駅舎を見学したところで終了したが、この台中駅周辺は、徒歩で手軽に回れるお楽しみポイントが満載だ。というわけで、ちょっと小腹も空いてきたので、コーディネーターのOさんオススメの食品店やスイーツ店をめぐってみることにした。

 最初に訪れたのは、台中駅から徒歩5分ほどの商店街の中にある「丸文食品」。店名もそうだが、店の佇まいも一見すると食品問屋のようだ。ここは魚の加工品を製造・販売するお店で、お店に入って最初に目に入るのが練り物加工品の製造・販売コーナーだ。見た目、香りともに日本のさつま揚げとほぼ同じで、試食させてもらうとお味もさつま揚げ。

 日本を離れてまだ1日少々だが、心安らぐ故郷の味にホッと一息。そしてさらに店内を進むと、そこには美しいパッケージに入れられた魚のそぼろコーナーが鎮座。試食させてもらうと、これまた日本の味。やがて店の奥からお店の家族一同が現われて「これも食べて、あれも食べて」の大試食大会となり、言葉はわからないけどみんなで大笑い。そして最後は集合写真撮影にもノリノリで対応してもらい、さらに購入商品以上のお土産までいただいて……。台中の人の温かさと笑顔、そして懐かしい味に感動するひと時だった。


こちらが「丸文食品」。商店というより卸問屋のような、シンプルな店構え。

日本のものと変わりない、さつま揚げ。懐かしさを呼ぶお味。

焼き菓子にアイスキャンディ、台湾の若者に人気のスイーツ

 続いて向かったのは、台中名物の太陽餅の人気店「九個太陽」だ。太陽餅とは、パイ生地の中に甘い餡を入れて焼いた、台中が発祥といわれる焼き菓子だ。パイナップルケーキをはじめ、重厚な中華風のお菓子が多い台湾だが、この太陽餅は、その名前とは裏腹に洋風テイストのお菓子。外の皮はサクサク、中の餡は程よい甘さという軽い食感が魅力だ。

 約800店あるといわれている台中の太陽餅店の中で、Oさんがこの九個太陽を薦める理由は、お店の若き職人の呉さんの実力。呉さんは、元々はパン職人を目指していたそうだが、地元に昔からある太陽餅のアレンジに興味を抱き、若い人のニーズにも合う現代風の太陽餅、冠軍太陽餅を開発・発売。これが年に1回開催される太陽餅の全国大会で優勝し、全国区の人気商品になったということだ。その自慢の太陽餅を試食させていただくとなるほど、バター香るソフトな食感はまさに洋菓子。何個でも食べれてしまいそうな、ある意味危険なスイーツであった。

 また同店では、この美味しい太陽餅の制作体験ができる。呉さんをはじめとする講師がそばに付いてレクチャーしてくれるが、なかなかプロのようには上手くいかないのがまた楽しかったりする。そしてもうひとつの魅力が、犬好きにはたまらないマスコット犬の春ちゃんの存在。柴犬の女の子で、日本好きのオーナーがこの名前を付けたという。名刺代わりのポストカードも用意されており、笑顔で尻尾をフリフリする愛らしい接客でお客さんを出迎えてくれる。九個太陽は、台鐵台中駅から徒歩約15分。台湾らしい街並みを眺めながらのんびり訪問してみてほしい。

 そしてスイーツ連続摂取になってしまうが、次に訪れたのはアイスキャンディのお店「小惡魔雪莉貝爾冰品(英名:Little Devil Icecream)」。小悪魔をイメージした可愛らしいポップなイラストに囲まれたお店に一歩入ると、カウンターにも可愛らしい小悪魔衣装の店員さんが。そして冷蔵ケースに並ぶ色とりどりのアイスキャンディも、これまたポップで可愛らしい小悪魔デザインだ。

 これら店舗装飾や商品のデザインの多くは、なんと目の前にいるこの可愛らしい店員さんが手掛け、店内の壁画もすべて彼女が直接描いたものだそうだ。そして自慢のアイスキャンディは、少しトロ味のあるシャーベット風で、台湾らしい南国のフルーツテイストあふれるもの。これに色とりどりのカラートッピングで小悪魔キャラクターが描かれている。またお客さんによるカスタムデザインも可能だという。ポップな店内で台湾テイスト豊かなアイスキャンディをいただくのも、実に楽しいものだ。小惡魔雪莉貝爾冰品は、台中駅から徒歩約15分。そして太陽餅の九個太陽からは約5分だ。


「九個太陽」。

こちらが、昔ながらの「スタンダード・太陽餅」。

若い人の味覚にも合う、現代風太陽餅「冠軍太陽餅」。食感はまさに洋菓子。

太陽餅づくりにチャレンジ!

マスコット犬の春ちゃん。なんとも愛らしい仕草で、お客さまを熱烈歓迎!

もうひとつの辰野金吾イズムの遺構

 連続スイーツの腹ごなしも兼ねて、続いて向かったのは旧台中市役所だ。ここも日本統治時代の1911年に竣工した日本の香りが色濃く漂う歴史的建造物で、実はこの建物も、2代目台中駅舎と同様に辰野金吾の意匠が盛り込まれている。正面玄関上部の丸みを帯びたドームなどは、まさに辰野式の真骨頂といえる部分だろう。役所としての機能は既に無く、現在は台中市の文化創造施設として市民や観光客に愛されている。

 館内1階は落ち着いたカフェスペースにリニューアルされ、2階はイベント・展示スペースとして活用されているが、近年の修復によって日本統治時代の姿が忠実に再現され、優雅な外観とともに当時の雰囲気をじっくりと楽しむことができる観光施設となっている。3階のドーム部分の見学も可能で、木造階段で上に登るほど人数制限が厳しくなるという、クラシック物件ならではのスリルも楽しい。また道路を挟んだ向かいには、同じく日本統治時代の1913年竣工の台中市政府の建物(台中州庁)があり、これも合わせて見学してみると良いだろう。旧台中市役所は台中駅から徒歩約20分だ。

 今回はここまで。次回は少々鉄分の濃い場所もめぐるのでお楽しみに。


旧台中市役所。2代目台中駅舎と同様に辰野金吾の意匠がそこかしこに使われている。


3階のドーム部分の見学も可能。木造階段で上に登る。多少スリリング。

ドームを中から見上げたところ。

見学のあとはカフェでまったり、がオススメ。

 
 
Text:Takeshi Ito

伊藤岳志

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