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2020.05.29

RM的台湾・台中鉄道見聞録 その4「鉄道好きも自転車好きも 后豐鐵馬道・東豐自行車道」

地元民御用達の絶品スイーツ店で運動前の腹ごしらえ

 食べ物が美味しいことでも有名な台湾・台中市。この旅でもことあるごとに、屋台やグルメスポットに立ち寄り、前回もなんだかんだでホテルのチェックイン直前まで食べまくり、そのままバタンキューと就寝。この調子では、滞在中に体重が何キロ増加してしまうのか計り知れない……。だからというわけではないのだが、今回は体を使ったレクリエーションを堪能したので、ご紹介。

 3日目の朝は、ホテルの朝食をゆっくり楽しんでからスタート。ちなみに台中でお世話になったホテルは、市街中心部に建つ草悟道酒店(ジン・ビンホテル。酒店や飯店は、ホテルの意味)。サービスの行き届いた快適なホテルで、日本語を話せるスタッフも常駐しているので、僕のような台湾初心者でも安心して宿泊することができるのでオススメだ。そんなホテルをチェックアウトしてクルマで出発!

 本日の目的地は、台中市北東部にある有名なサイクリングロードだ。しかもここは、鉄道ファンが泣いて喜ぶ素晴らしいロケーションが展開しているという。鉄道好きが高じて鉄道系カメラマンとなった僕としても、ここがこの旅のメインディッシュといっても過言ではない。しかし地元グルメに精通しているコーディネーターOさんが「その前に、絶対に食べるべきスイーツがあります!」と力説。どうやらサイクリングコースへ向かう道中にそれがあるらしい。結構ガッツリとホテルの朝食を食べてきたが、「スイーツなら別腹だよね」とすんなり承諾。これがいけないんだろうなぁ……。

東東芋圓。午前中から大繁盛である。

 こうして到着したのが、台中市北屯区にある東東芋圓だ。芋圓とは、里芋やサツマイモ、ジャガイモなどの芋類の粉で作った芋だんごに、シロップや果物を乗せて食べる台湾伝統のデザートのこと。Oさんが案内してくれたこのお店は、駅から離れた山間の街にある地元民御用達のお店で、外国人観光客の姿はほとんど見当たらない。夜の屋台といい、地元の味を楽しませてくれるOさんのセレクトは、実に素晴らしい。そのためお店に日本語表記はないが、英語表記はあるので、日本人でもオーダーにはそれほど苦労はしないだろう。

 今回はかき氷の上に温かい芋圓と豆が乗ったものをオーダー。最初に温かい芋圓をほおばり、続いて下にある甘くて冷たいかき氷を口に運ぶ。あっさりとした味わいで結果適温、この日のような小春日和の陽気にぴったり。しかも、スイーツでありながら小腹も満たせるという、優れものの逸品であった。ちなみに公共交通でこのお店を目指す場合は、台鐵山線の松竹駅、または太原駅からタクシー利用が便利だ。

芋圓。この芋だんごの下に、かき氷が隠れている。芋でできているので、腹ごしらえはバッチリ!

かつての鉄道線路跡を電動自転車で快走

 東東芋圓を後にしてクルマを走らせること約30分、本日のメインイベント会場の后豐鐵馬道・東豐自行車道(后豊サイクリングロード・東豊緑園道サイクリングロード)に到着する。生活だけでなく、レジャーとしても自転車文化が盛んな台湾では、各地にサイクリングロードが整備されている。そのような中で、台中市北東部の后里区、豊原区、石岡区、東豊区にまたがって整備されているこのサイクリングロードは、実は2つの鉄道廃線跡を転用したものなのだ。

 ひとつめの后豊サイクリングロードは、かつての西部幹線の山線だ。1997年の后里~豊原間の新線切り換え完了によって廃線となった区間を整備し、2005年から同サイクリングロードとしてオープンしている。ふたつめの東豊緑園道サイクリングロードは、かつての台鐵東勢線だ。山線の豊原と東勢を結ぶ枝線であったが、1991年に輸送量減少によって廃止となり、サイクリングロード化された。この東勢線は、旧山線の后里~豊原間にあった豊原北信号所で合流して豊原駅にアプローチする線形となっていて、サイクリングロード化後もその線形を維持。そのため、豊原北信号所跡を中心に、両サイクリングロードがY字型に合流・接続する独特な形状となっている。それでは、早速自転車を借りてコースに出てみよう。

電動タイプなら、長距離でも心強い!

 自転車を借りたレンタサイクル屋の場所は、この合流点である豊原北信号所のそば。どちらのコースから楽しむかを検討し、まずは鉄道の見どころの多い后豊サイクリングロードに行ってみることにする。走り出すと早速、最初のビックリは借りた自転車。地元台湾のGIANT社製電動自転車を借りたのだが、なんとモーターのパワーコントロールが、バイクのようにハンドルをひねってできるのだ。つまりペダルを漕ぐ必要は無し。まさに電動スクーターのごとき乗り物で、その面白さと楽チンさに思わず顔がニヤけてしまう。ちなみにレンタル料金は1日300台湾元(約1,100円)で、日本にもぜひ導入してほしいところだが、日本国内では現行の法規的にむずかしいのかもしれない。

 后豊サイクリングロードの全長は約4.5キロ。現在の山線后里駅付近が起点となっており、駅前にもレンタサイクル屋が多数あるので、公共交通利用の場合は后里駅からアプローチするのが便利だ。それでは我々もスタート。后里駅方面へ向けて走り出すと、まず観光客の多さに驚く。訪れたのが土曜日だったということもあるが、老若男女、ファミリーからカップルまで、実に多くの人々がサイクリングを楽しんでいる。それに合わせて沿道にはさまざまな屋台や自転車ショップが並び、それらの店を見るだけでも楽しそうだ。

 しばらく走ると、コースは牧歌的な田園風景から山岳地帯に変化。やがて最初の見どころの花梁鋼橋に到着。絶景の大甲渓を渡る美しいトラス橋梁で、もちろんここもコースの一部だ。橋の袂には、かつて軍需路線として活躍していた名残の詰め所と衛兵の人形もあり、この路線が辿ってきた歴史も感じることができる。そしてこの付近にもいろいろな屋台があり、我々もここで台湾式ホットドックで腹ごしらえをした(東東芋圓で満腹じゃなかったのか?)。

 花梁鋼橋を渡ると、すぐに第二の見どころである九号隧道に到着。サイクリングロードにトンネルがあること自体珍しいが、このトンネルの全長は約1.2キロと結構長い。早速突入すると、トンネルは緩やかにカーブしていて延々と出口が見えない。しかし走行に支障のない明るさの照明が設置されており、鉄道トンネルを走る楽しさに夢中になれる。また中央付近には、ちょっと内部寸法が狭い素掘りのままの区間も残り、100年以上前の人の手による掘削の苦労が偲ばれる。

 九号隧道を抜けたところで我々は折り返し、今度は東豊緑園道サイクリングロードを目指す。東豊緑園道サイクリングロードの全長は約12キロ。こちらは田園地帯や住宅地を横目に走る、生活自転車道も兼ねた雰囲気のコースだ。見どころは、しっかりとした形で残るホームや車両たち。特に旧石岡駅付近には、日本製の旧型客車が休憩所として開放されており、観光客の記念撮影スポットにもなっている。また目を凝らすと、草生したコース脇にかつての引き込み線のレールがひっそりと残り、廃線跡ファンのハートも大いにくすぐるサイクリングロードといえよう。スクーター感覚の自転車をセレクトした上、また食べてしまったのでダイエット効果はまったくなかったが、大満足のうちにコースを後にした。

 今回はここまで。次回は最終回。台中の街のさまざまなお店やアトラクションを紹介するのでお楽しみに。

九号隧道。
中は明るくて、安心!
かつての引き込み線のレールも。

伊藤岳志

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