MOBILITY

2020.07.14

真っ赤なキャデラック・ドゥビルが圧巻! 小さなイセッタも収まるフランス、パリのガレージを訪ねて

年に2回およそ700台ものヴィンテージカーがパリを走る大イベント『La Traversée de Paris』。それを主催するVincennesen Anciennes(ヴァンセンヌ旧車クラブ)はフランス国内最大のクラブ。ヴァンセンヌとはパリの東に広がる森とお城の街の名である。

以前、筆者がパリ横断の撮影で同乗させていただいたCitroenType C 5HP(1925年)。そのオーナーのティエリー氏はヴァンセンヌ旧車クラブの役員の一人で「クラブで、一番古い車と一番小さいクルマ、そして一番大きなクルマを持っている」という。ここではそんな彼のコレクションを拝見しにお邪魔することにした。

ティエリー氏の自宅には一台一台縦に収納する長いガレージがあり、そこに数台のコレクションを収めている。彼が若い頃は速いクルマにしか興味がなかったということで、趣味のクルマといえる最初の一台はケーターハム・セブン。キットをイギリスから購入して行きつけの車屋で自らも手伝いながら組み上げた。オリジナルエンジンは1.4Lと非力だったため、後にオペルの2L エンジンに交換。550kgの車重に170馬力の加速に満足し、以来今でも大切に乗られ共に距離を重ねている。

ティエリー氏が次に手に入れたのはCitroen Type C 5HP。友人からの紹介だったそうだが、なんとアクセルとブレーキが現代のクルマと逆。そのスタイルとそのメカニックに惹かれたのだという。

奥さんが大好きな小さなイセッタがクラブ最小のクルマ



奥さんのマリー=ピエールさんも大のクルマ好き。当時家族で使っていたクルマは大きな4駆でバカンスもフランス国内やヨーロッパのそこかしこを走ったそうだが、ある日小さい車が欲しい、と8歳で見たイセッタを思い出す。その後、赤いイセッタがベルギーからやって来たのである。これがクラブ最小のクルマである。

小さいクルマを手に入れると大きなクルマが欲しくなり、手に入れたのが1960年製キャディラック・ドゥヴィル。これがクラブ最大のクルマだ。その後も友人宅にあった2代目ゴルフのコンバーチブル。次は友人に見せられたT型フォードが欲しくなり、1920年に新車でフランスに輸出されたというT型フォードを購入。アクセルはステアリングホイール付近にあり、前進と後退のみで変速機はない。エンジン以外は馬車や家具のように木製。1920年当時に登録されたナンバーなど手書きの文字などを消さぬよう、なるべくオリジナルを保つようにレストア。これがクラブで最も古い車である。

イセッタ、ドゥヴィル、シトロエンType3は仕事場のガレージに保管。そのほかにも、マツダ・MX5、シトロエンAC4も所有し、一見一貫性がないコレクションにも見えてしまうが、その時々に出会いがあり、興味を持ったクルマがいつの間にか集まってしまったというティエリー氏の人の歴史そのものだ。

VINTAGE LIFE vol.22より掲載

Photo & Text : Tomonari Sakurai

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