MOBILITY

2020.08.09

“街なかベスト”なホンダe! 急速充電30分で202km分の走行が可能なら旅でも結構使えそう!?

ホンダ初のフルバッテリー駆動EVとなる「ホンダe(イー)」。近日予定されている正式発売に先立って2020年8月5日、日本仕様の詳細がメディア向けに公開されました。未来感とレトロ感の両立したかわいらしいスタイルが何より目をひきますが、その中身もホンダの開発陣が「ホンダらしいEV」を突き詰めた、個性的な内容となっています。
 
ホンダeの開発コンセプトはズバリ“街なかベスト”。現在、各メーカーのEV開発競争が激化していますが、それはとかく “ガソリン車の能力をそのままEVで実現する”という流れになりがち。ニュースでもバッテリー容量やフル充電状態からの航続可能距離といった数値の競争が注目されているのではないでしょうか? しかし、ホンダeは「小ささも磨けばきっと大きな魅力になる!」と、捨てるものを捨て、シティコミューターとしてのEVの使い勝手にこだわっているのが特徴です。
 
新開発のホンダe専用プラットフォームは、駆動用モーターをリアに搭載してフロントには充電システムを配し、前後重量配分50:50を実現。バッテリーを全てフロア下に積むことで重心を低くし、足周りは4輪独立懸架のストラットサスペンションを採用。それにより主なターゲットとなる日本やヨーロッパの都市部での運動性能と乗り心地を追求しているとのことです。


 
驚くべきは小回り性能で、モーターをリアに搭載したことで前輪の切れ角は内輪側が約50°、外輪側が約40°と大舵角のジオメトリーが可能となり、最小回転半径なんと4.3m! 現在ホンダが販売している軽自動車が最小回転半径4.6m程度ですので、ホンダeが、EVのメリットを活かした次世代のコンパクトカーなのだとわかります。
 
気になるパワートレーンは、アコードハイブリッドから流用したe:HEV駆動モーターを搭載し、最高出力113kW(154ps)、最大トルクはV6 3.0Lエンジンに匹敵する315Nm(32.1kg-m)を実現。
 
走行モードはNORMALとSPORTの2種類でアクセル方向の味付けを選ぶことができ、さらにシングルペダルコントロールのONとOFFを切り替えられます。これは、ONだとアクセルペダルを離すことでクルマが停止まで減速しそのままブレーキを保持するため、いわゆる「ワンペダルドライブ」が可能となり、OFFだと通常のAT車と同様にクリープ動作があるという違いです。

そして、シングルペダルコントロールONでは減速度を3段階で選ぶことができ、最大で約0.18Gの減速が可能ですので、ワインディングロードを気持ちよく走ることもできそうです。OFFでは最大減速約0.1Gまでを4段階で調整できます。


 
そしてホンダeの最大のアピールポイントは、急速充電性能です。バッテリー容量は35.5kWh、航続距離はWLTCモード283kmで、200V普通充電ではフル充電まで10.2時間。街乗りでは必要十分なバッテリー容量ではありますが、並み居るライバルたちと比較して目立つ数値ではありません。が、電力の出し入れ性能に優れたパナソニック製の高出力リチウムイオンバッテリーを採用することで、30分の急速充電(CHAdeMOで出力50kWの場合)で約80%の充電ができ、さらに202kmの走行が可能となっているんです!
 
高速道路のSA/PAや道の駅、各車ディーラーなどに設置されている急速充電器での充電時間は、現在の状況では1クール30分が基本となりつつあります。たとえば大型・長距離型の某海外メーカーのEVでは、30分の急速充電で最高100kmの走行、気温やドライブ状況を考慮すると実質的に80km程度といったところです。
 
最近、実際にそれで1800kmほど旅をしてみたのですが、フル充電状態からの航続距離を走り切った後は、高速のSA/PAで30分充電して1時間も走らないうちにまた充電しなければならず、なかなかストレスでした。充電スポットに他のクルマがいなければ30分×2の急速充電もしましたが、30分つぶすのは気分転換と休憩にちょうどよくても、1時間だとなかなかシンドイんですよね。
 
ロングレンジ型の大型EVとは明確に違うコンセプトでありながら、継ぎ足し充電での実用性が非常にハイレベルなのがホンダeの魅力といえるでしょう。
 
 リビングルームのようなインテリアは物理スイッチもあえて配置


 
また、インテリアを見てみると、リビングルームのような心地よさを求めたというインストゥルメントパネルは完全に水平な木目調で、メーターパネル、ワイドモニター(12.3インチ×2)、そして左右両端にカメラミラーのモニターと、計5つのディスプレーがズラっと横に並んだ光景が広がります。ホンダとして初採用のサイドミラーカメラシステムは視認性も高く、ドライバーの視線の動きは旧来のドアミラーより少なくて済んで好感触。
 
全てをデジタルなタッチパネル操作にするのではなく、エアコン操作は独立した物理スイッチ操作としていたり、インフォテインメントシステムも「ホーム」ボタンなどいくつかの主要機能を物理スイッチにしているところにも、ホンダ開発陣の見識が垣間見えました。1人で運転中に、タッチパネルでエアコンを操作したりするのって、画面を見ないといけないから危険ですし、停車時まで操作を待たなければいけないというのも、かえって不便ですよね。


 
また、助手席側のワイドモニターと運転席側のワイドモニターで別々の操作ができるマルチタスクというのも、実際の様々なドライブ状況で何が求められているのか、とことん研究していることが窺われます。
 
他にも社内Wi-Fiを備えて、動画デバイスとHDMI端子でつなげるといったコネクティビティや、パーキング支援システムといった先端の装備を備えていて、ホンダ開発陣が2030年頃の未来を想定したEVの第一弾として送り出す、ホンダeへの意気込みが伝わってきました。
 
「あれもこれも」と機能と性能を求めるのではなく“街なかベスト”と割り切って開発されたコンパクトEVのホンダe。普段着のような感覚で当たり前に乗り回せる「ゲタEV」としての魅力がたっぷりで、実際に路上で乗ってみる日が楽しみです。

写真:平井大介 文:竹内耕太

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