MOBILITY

2020.08.14

ポルシェ・タイカンで富士スピードウェイを爆走! ポルシェの電気自動車、 4人フル乗車、1時間弱の連続走行で見えたヤバすぎるポテンシャル!

富士スピードウェイを走行した、ポルシェの電気自動車、タイカン

2020年8月3日、富士スピードウェイのとある走行会でポルシェ・タイカンを走らせるという情報をいただき、さっそくお邪魔してみることに。なんでもプロのレーシングドライバーの横でタイカンの同乗走行もできるという。
 
サーキットにはタイカンをはじめ、ポルシェ・GT3 RSやランボルギーニ・ウラカンのレーシングカーやフェラーリ、ランボルギー二、マクラーレンなども勢揃い、私が到着したときにはまもなく走行会がスタートする時間であった。
 
タイカンを持ち込んだのは、バッテリーの性能評価試験の受託業務を行っているグローバル・テック株式会社。早速、同社の代表取締役である大塚和志さんに今回の走行会にポルシェ・タイカンを持ち込んだ目的を伺ってみた。

タイカンを輸入したのはグローバル・テック株式会社
日本のバッテリー、EV研究のためタイカンをバラバラに
 
「今回、タイカンを持ち込んだのは、皆さんにポルシェ・タイカンを体感していただくこと。大きくは日本のEV普及を目的としています。世界はEV化の流れが加速していますが、ご存知のように日本は周回遅れ。バッテリー産業は、日本における最後の米粒と呼ばれていたんですが、この産業が韓国や中国に追い越されている現実があります。そうならないようにするのが使命ですし、ポルシェ・タイカンのバッテリーも重要な研究材料だと思いますので、まずはどんなクルマなのかサーキットで走らせ、感じて、ここから今、日本のメーカーがバッテリーや制御の開発で負けないようにしようと。お盆明けには、タイカンをバラして、バッテリーの性能試験にかかります」


グローバル・テック株式会社、代表取締役の大塚和志さんとポルシェ・タイカン4S
 
まだ、日本では販売されていない新車のポルシェ・タイカンをいきなりサーキットで走らせた後、すぐにバラバラにする!? なんとものすごい話だが、富士スピードウェイを走るタイカンはおそらくこれが最初となるはず。大塚社長はドイツからこの日の3週間前にタイカンを空輸、社員や関連会社のみなさんとポルシェタイカンを体感しようと、富士スピードウェイに持ち込んだのだ。
 
「日本の電池メーカーもクルマメーカーもポルシェ・タイカンは気になっているようですけど、実験台にするには高価ですよね。タイカンを買おうとすると普通のポルシェが2台分くらいになりますから。なので、メーカーさんや電気自動車の開発に取り組んでいるお客様と一緒に世界のEVはどうなっているのか、それに対して、これから1〜2年のバッテリー開発を我々はどうしていくのかを決める必要があります。そのために弊社で実物を買って、電池材料メーカーさんとか、モーター開発業者さんとか、日本でEVを開発しているいろいろなメーカーさんが世界で負けないように、役立てばとそんな想いですね」
 
大阪に本社を持つグローバル・テック株式会社はリチウムイオン電池を生産する設備や新電池素材の研究開発のほか、電池の試験など、新世代電池開発の専門企業である。リチウム電池といえば、パソコンやケータイに搭載されているが、それが近年クルマに搭載されるようになり、耐久試験などもより緻密なものが求められるようになったのだそうだ。


 
「クルマに搭載するバッテリーがリコールになったら大変ですし、電池というのは燃えると危険ですから、そんなことが絶対にあってはならないんです。なので、日本のクルマメーカーさんや電機メーカーさんのバッテリー試験を弊社で受託しているというわけです」

グレードは4S、タイカンを空輸するまでには紆余曲折も!
 
 大塚社長はスーパーカー世代で、小学校のときにカウンタックに憧れて育った。自身の事業でリチウム電池がプリウスやフィットなどハイブリッドカーに搭載されるようになったことで、今まで試験していた電池をどうクルマ用にモディファイしていくのか、クルマとの接点ができたことで、自らもレース活動をするようになったのだそうだ。
 
「クルマメーカーさんも、タイカンがどれくらいの性能なのか情報がないようです。モーターは日立製らしいとか、バッテリーはLG製なんですが、シリコン系の負極材が入っているらしいとか噂はあるんですが、実際はバラしてみないとわからないんです」
 
空輸したタイカンはホワイトボディの4Sというグレード。ただ、このクルマが来るまでに相当ないきさつがあったようだ。
 
「白いタイカン4Sが来ましたが、最初は黒をオーダーしたんです。ただ、予約しているのにもかかわらず、初期ロットで人気があるのか、すぐデポジットを上乗せされてドイツ人に買われちゃうんですよ。向こうのディーラーは高い金額を出した人にはじから売ってしまう。次にブルーを注文したんですがそれも買われてしまい、白の4Sがやってきたんです。上級グレードにターボやターボSというモデルがありますが、バッテリーは共通らしいので、グレードはあまりこだわりませんでした。うちはバッテリーが見たいだけなので」
 
「日本に到着してすぐ試乗しましたけど、とにかくパワー、トルクがすごい。高速走行時にはググっと車高が下がるんですが、安定感がありますよね。エンジンがなくなった分スペースを有効活用できるので、後ろの席も広いですよ。スポーツカー並みの加速で4人乗って、ゴルフバックも載せられるというとそんなクルマないですから」


今回の走行会はグローバル・テックのレースカーや一般参加のスーバーカーなども一緒に走行。
 
今回大塚社長は、自身のポルシェ・GT3RSやほかにもポルシェのレースカーも持ち込んでいるが、そのほかにもランボルギーニ・アヴェンタドールSVJやポルシェ ・992ターボSなども所有しており、年に何回か社員やクライアントの皆様にサーキットで試乗していただいているという。
 
「4台くらいスーパーカーを持ってきて、若い社員やお客さんに乗ってもらうんです。ぼくらの若い時のように、クルマ好きになってワクワクしてもらいたいなと。前回はテスラを持ってきて乗り比べたんですが、ごからも電気自動車にも興味を持ってもらおうと思っています」
 
そうこうしているうちに、走行会がスタート。試乗会はサクセスレーシング運営のもと、同乗試乗ということで、マスク、ヘルメットやシートのカバー、手袋を試乗ごとに取り換えるなど、コロナ対策も徹底して行われた。

タイカンのドライバーはレーサーの佐藤駿介さん


今回、富士スピードウェイの同乗走行でポルシェ・タイカンのドライバーを努めた佐藤駿介さん。
 
タイカンを運転するのは、スーパー耐久シリーズST5クラスで2019年のシリーズチャンピオンとなったプロレーシングドライバーの佐藤駿介さん。そこに助手席1人、リアシートに2人を同乗させ、サーキットを走行する。一周ごとにグローバル・テックの技術者が、電池の温度がノーマルモードとスポーツモードとどう違うかなど解析しながら走行。筆者も助手席で一周同乗させていただいたが、4人フル乗車とは思えない加速とコーナーリング。タイカンといえば、0-100km/hをターボSが3秒切りの2.8秒で走り、同乗させていただいた4Sは4秒ということだが、いやいや十分すぎるほど速い! こんなパフォーマンスのEVを一般公道向けに発売してしまうのかと、正直驚いてしまった。
 
富士スピードウェイは1周4400m、私が乗車する前はバッテリー容量が68パーセントだったが、1周終えると60%に減少ということで、1周すると7〜8%を消費するようであった。ちなみに、トップスピードはリスクマネジメントを入れて250km/h。フル乗車で10周以上、1時間弱は走行している。連続走行でダレてくるというブレーキも少し時間をおくと復活するとのことだったが、実際にドライビングを担当した佐藤さんはこう語っていた。


 
「タイカンは最初、見た目は4ドアセダンですし、電気自動車ですし、街乗りメインの高級車だろうなと思ったんです。しかし乗ってみると、とにかく加速が鋭くて速い。そしてノーマルとは思えないコーナリング。4人フル乗車で全開走行をしても、ストレスのないコーナリングと加速を見せてくれました」

「富士スピードウェイの第3セクターでの頭の入りも良くてかつ、100Rのような高速コーナーでも抜群の安定感だと思います。車重は2.2トンとお世話にも軽いとは言えないですが、動きはとても素直でドライバーの意思を尊重してくれる安心感がありますよね。ノーマルって事を忘れてしまうくらいにハイポテンシャルなEVマシンだと思います。今回はタイカン4Sというグレードでしたが、Turboモデルは更にハイポテンシャルだと思うのでイメージしただけでも興奮します」とのこと。
 
今年ついに日本の道を走り出すポルシェ・タイカン。今回同乗させていただいたタイカンは、グローバル・テックでバッテリーの試験車両となるが、公道での使い勝手や長距離走行の模様などはまた今後、機会があればレポートさせていただきたいと思う。
 
取材協力:グローバル・テック https://www.gl-tech.co.jp
     サクセスレーシング http://saccessracing.jp

この取材の模様はEマガジンのYouTube
http://www.youtube.com/c/EMAGAZINE001

で近日公開予定

写真、文:陰山惣一

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