MOBILITY

2020.08.15

「西部警察」よ永遠なれ! 「マシンRS」×「スカイライン・スーパーシルエット」もし奇跡のコラボが実現したら!?

SKYLINE MACHINE RS - SUPER SILHOUETTE ◉アオシマ1/24 ◉作例制作:秦 正史

6代目スカイライン(R30型)をベースに、TVドラマ『西部警察』に登場した特殊パトカー、マシンRS、同じくR30型をベースに大改造が施され、日本のシルエットフォーミュラの代名詞となった、スカイライン・スーパーシルエット。RSの直線基調スタイリングは、当時の大人、はたまた小中学生の男子達を夢中にさせたが、この夢の二台がコラボしたらどうなるのか? modelcars編集部が、そんな夢のマシンをアオシマ1/24で実現。当時の憧れや思いを巡らせながら、この傑作を紹介させていただこう。
 
今思えば、私がはじめてシルエットフォーミュラというもののカッコ良さに惹かれたのは、トイラジのランチア・ストラトスのグループ5か、あるいはニチモのバイオレット・ターボのいずれかであったように記憶している。ストラトスもバイオレットも、元のカタチ(ノーマル)の状態は良く知っていたので、シルエットフェンダーの装着でかくもカッコよくなるのか、と子供心に結構な衝撃を受けた。
 
しかし、それはまだ序の口。その何倍、いや何十倍ものインパクトを携えて眼前に現れたのが、登場したばかりの6代目スカイライン(R30型)をベースに大改造が施された、スカイライン・スーパーシルエットだった。
 
日産プリンスの小冊子『PRINCE』の記憶

最初に詳細を知ったのは、日産プリンス車のオーナー宅に送られてくる小冊子、『PRINCE』誌の1982年5月号。お馴染みの赤黒ツートンはイラストのみで、まだサフェーサー状態の実車の写真が掲載されていた。しかし、その何とカッコ良いことか! その後は雑誌やテレビ(レース映像を観た記憶があるのだがソースは定かではない)、日産プリンスのセールスマンが持ってきてくれた大型ポスター、さらに1983年に入ってすぐにアオシマからプラモデルがリリースされたので、私はスカイライン・スーパーシルエットに夢中になった。


こちらが、日産プリンスディーラーでクルマを買うと、自動的に送付されてきた『PRINCE』誌の1982年5月号。R30スカイラインのイメージキャラクターを務めたポール・ニューマンが表紙を飾る。中を捲ると、富士スピードウェイにおけるシェイクダウン時の模様が収録されている。車体はお馴染みの赤黒ではなく、グレーのサフェーサーで塗られている。エンジンフードにも冷却口が皆無で、後々あらゆる対策が施される前の状態であることが分かるだろう。
 
唯一不思議でならないのは、一番実車と関係が深かったはずの、トミカのスカイライン・スーパーシルエットを買ってもらった記憶がまったくない点だが、もしかするとあまりの人気ゆえに店頭では品薄状態が続き、店頭で現物を目にして親に無心する機会すらなかったのではないかと、今になって推測している。
 
もうひとつ言えば、当時はスカイラインが久しぶりにサーキットに帰ってきた、ということも話題となったと聞くが、1973年生まれの私には、ハコスカGT- Rの50連勝は知る由もない話。つまり、私にとって最初のレーシング・スカイラインが火を噴くスーパーシルエットであったのだ。物心ついた時からのスカイライン好き、我が家の担当セールスマン氏が乗ってくるフロントのウィンカーをオレンジ色に塗ったハコスカに憧れた小僧にとって、スカイライン・スーパーシルエットは間違いなくヒーローだった。
 
当時の小学生が夢中になったマシンRS


 
そして、実はもう“ひとり”、私がヒーローだと崇めるスカイラインが“居た”。それはTVドラマ、『西部警察』に登場した特殊パトカー、マシンRSである。大人からすれば、「戦隊モノのような非現実さ」でドラマへの感情移入すら難しくさせるド派手な特殊パトカーであったはずだが、小学生にとっては理解の難しいストーリーなど二の次、一秒たりとも見逃すまい、とひたすら画面上のマシンRSの姿を目で追った。
 
当時はまだビデオなど普及しておらず、ひたすら記憶のフィルム焼き付けるしか術がなかったのである。ちなみに当時、ひとりだけ自宅にビデオデッキのある友人が居て、初めて録画した映像を観たのも、実は『西部警察』で、過日放送されたテレビ番組を何度も鑑賞できることに、至上の喜びを覚えた記憶すらある。
 
そんな私にとっての、ふたりのスーパーヒーローが合体したら何が起きるのか、当時はまったく考えもしなかった“奇跡のコラボレーション”を形にしたのが、編集部の秦が制作したこちらのマシンRSスーパーシルエット(とでも呼べばいいのだろうか)である。実はこの作品は姉妹誌のモデル・カーズ・チューニング、その参用に作られたもので、過去作だ。しかも、今回の本誌のスーパーシルエット特集の内容からすれば“邪道”というか、“飛び道具”のような突拍子の無さを感じる方も居るかもしれないが、私はこの作品が大のお気に入りである。
 
マシンRSとシルエットフォーミュラのコラボはアベンジャーズだ!
 
客観的に分析すれば、シルエットフォーミュラは、日本のモータースポーツ史において熱狂的な盛り上がりを見せたものの、あくまで一過性のものであり、ましてそれは前座レースであった、と片付けてしまうことも間違いではない。しかし、もっと別の目線で、クルマというものを擬人化し、そこにスーパーヒーロー像を重ねた当時の少年にとっては、この作品を眺めていると、スカイライン・スーパーシルエットとマシンRSというふたりのヒーローがシンクロした無敵の存在、映画で言えば『アベンジャーズ』を観ているかのような興奮を覚えるのである。
 
世代によって、シルエットフォーミュラも『西部警察』も受け止め方は色々あるだろう。ただ、当時、それらに恋い焦がれたクルマ大好き少年にとって、この作品は当時の懐かしい記憶を呼び覚まし、さらに増幅させる媒体として、大いに存在感を発揮することになるのではないかと思う。


作例は基本的には、スーパーシルエットのキットにRS-1のパーツを加える形で制作されている。コクピット左側にはコンピューターボックスを移植、スイッチ類は正確に塗り分けた。邪魔になる左側ドア内側パネルは省略し、メータークラスターが乗るフレームも、助手席側を切除。ルーフの20mm機銃はボックスごと移植、シルエットのルーフにはドリルで孔を開け、西部警察の蓋(ルーフ)のパーツを機銃の上にそのまま接着。アンテナはキットに含まれている完全版用のパーツと洋白線の組み合わせ、Cピラーのエアースプリットは西部警察のボディから切り出し、角度を調節して取り付けている。

modelcars vol.291より掲載

text : Makoto UKAI(鵜飼 誠)photo:Yoshihiro-HATTORI(服部佳洋)作例制作:秦 正史

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