MOBILITY

2020.08.21

もし1000馬力のハコスカでケン・ブロックのマスタングをやっつけるとしたら!? 想像力で作り上げたレーシングカーのカタチ

HAKOSUKA Evolution Yusuke GOTO feat. Takayuki YAMAZAKI

ラスベガスで開催されたカスタムカーの祭典「SEMA SHOW」。2014年にここで展示されていたのは、かつてDC SHOESを立ち上げ、現在はラリードライバーとして活躍するケン・ブロックの’65フォード・マスタング。のちに世界各国でドリフトをすることで知られる、この改造マスタングを、例えばハコスカでやっつけるとしたらどんなクルマになるのだろうか?
 
プロダクトデザイナー、pdc_designworks代表のやまぐち たかゆき氏と、プロモデラーの後藤祐介氏は飲みの席でそんな話で盛り上がり、ご覧のハコスカを完成させてしまった。このモデルカーから1/1の実車を実現させ、ケンブロックのマスタングとバトルしてほしい! そんな想像を膨らますのもモデルカーの楽しみのうちのひとつである。


フロントミッドに搭載されたエンジンはタミヤ製R32のRB26DETT。これにR390GT1のIHI製ターボチャージャー2つとインテークチャンバーを流用し、組み合わせている。
 
ハコスカ、R32、R35とサーキットで受け継がれた歴史
 
1972年の富士300キロレース。嵐のような豪雨の中を、甲高く官能的なエンジンサウンドを響かせ、30度バンクを駆け下りてくるKPGC-10“スカイラインGT- R”。ドライバーは高橋国光。
 
マツダ・ロータリーの台頭により、49戦で止まった連勝記録。しかしその日は、苦戦を強いられてきた日産ワークスとGT-Rファンの鬱憤を晴らすかのように、雨のレースとは信じがたいペースでワークスGT-Rはラップを重ね、2位以下を周回遅れに追いやってしまう。“2位以下は周回遅れ”、これで伝説にならないレーシングカーなど、あるものではないだろう。思えばR32の時もそうだった。それはさておき、ハコスカGT-Rが辛くも掴んだ50勝は、それまでの苦戦が嘘のような快勝ぶりでワークス最後のシーズンを飾った。
 
あれから44年。最新のR35GT-Rはさらなる進化を遂げ、世界に名を轟かせるマシンになった。R32で復活したGT-Rをここまで開発させた背景には、あの鮮やかな勝利を忘れることができない、血液にオイルが流れているようなハートの持ち主、そんな人間が存在することを感じずにはいられない。当然のごとく最強であり続けること、それが赤バッジの宿命だ。日産がサーキットで培ってきたことは計り知れない。ポルシェと死闘を繰り広げたR380のエンジンを市販GTに積み、ルマンでは1000馬力オーバーの怪物Cカーで戦い、グループAではRB26がその咆哮を轟かせた。

1000馬力オーバーを実現できるハコスカ



そして2014年暮れ、845馬力の’65年型マスタングの改造車が現れた。操るは米国のラリードライバー、ケン・ブロック。L.A.の市街地でドリフトしまくる動画を我々は観ていた。なんとも言えない苦い気持ちになった。日本発祥のドリフトなのに、指を銜えこれを見ていることしか出来ないのか。「これを超えるマシンが作りたい」と知人のデザイナー、ヤマザキ君に相談した。日本のプライドを全身にみなぎらせたような、殺気に溢れたマシンがいい。ベースはやはりハコスカ。エンジンは、S20から直6 DOHCの伝統を守りつつ1000馬力オーバーを実現できるRB26にF1タービン2丁がけ。ドライバーはやはり高橋国光氏だろう……なんて、深夜に盛り上がった。
 
それから一年、我々のコンセプトもまとまり、制作が始まった。彼は実車のデザイナーである。いつかこんなハコスカを実車で作りたいね、などと話しあった。夢をのせて走れハコスカ。まずは模型で生まれてくれ。 目を閉じれば、冷たく輝くシルバーのスカイラインと赤い2本ラインのヘルメットのドライバーが、日本刀のようなカーブを描きながら、鮮やかなドリフトで黒いマスタングをブチ抜く姿が浮かんでくる。 大和魂、ここにあり。 (後藤祐介)


ベースにはプロポーションに優れるフジミのハコスカを起用、オーバーフェンダーやカナード類、ウィングなどは幻想技研による3D出力品を装着している。仮想敵ケン・ブロックのマスタングはモンスターエナジーのカラーリングが特徴的だが、やまざき- 後藤ハコスカはパール仕上げのサーフェーサーに、ハートのSKYLINEロゴやPMC・Sステッカーを纏う。
 
modelcars 別冊  modelcars tuning その参 特集「ハコスカ進化論」より抜粋

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