MOBILITY

2020.08.29

狭小地にロータス・エスプリ、アルピナB6など3台を格納! リフト、ターンテーブルのある20年越しのガレージライフ

狭小地ながら3 台を完全格納できるOさんのガレージ。収められているのは、希少なアルピナB6 2.8/2とご子息のプジョー。そして、リフト上には、ファーストオーナーへ納車された際に偶然にもその場に居合わせ、子供の頃から一番好きだったエスプリが隠れている。

構想期間はなんと20年間。ロータス・ターボエスプリ、アルピナB6 2.8/2、プジョー206 SW S16が収まる念願の秘密基地が完成した。接道は2m、面積は30 坪という敷地に建てられたOさんのガレージは狭小地ゆえの面白い工夫がある。なんとエスプリはリフトの上でリビングと書斎からその姿が見える!? 狭小地ながら3 台を完全格納できるOさんのガレージを見せていただくことにしよう。
 
ご紹介するガレージの主は、いわゆるスーパーカー世代にあたる昭和40 年生れのOさんである。ブームの洗礼を受けて順調にクルマ愛好家となったOさんの今の愛車は、ロータス・ターボエスプリとE36 型のアルピナB6 2.8/2である。特に、入手して20 年になるエスプリは、中学に進学してもなおブームの余韻を引きずっていたO さんが、当時公開された007の映画で見初めた一番好きなクルマである。
 
以前の旧宅では、そのロータスをアコーディオンガレージに格納し、もう1 台をカーポートで維持して来たが、2017 年、満を持して建て替えに踏み切った。

リビングからクルマが見える実例に衝撃!


 
Oさんが建て替えを考え始めたのは、20 年以上前に遡る。そのキッカケは、ガレージの専門誌GarageLifeの創刊号であったという。当時、Oさんはその3 年ほど前に今の土地を購入し、家を建てたばかり。だが、その頃のOさんには、クルマを家に入れるという概念はなく、愛車のために用意したのは縦列駐車で2 台ぶんのカースペース。以前は青空駐車だったから、後から屋根を付けただけで凄いことだと思っていたのだ。
 
そんなOさんだったから、GarageLifeの記事で、リビングにそのままがクルマを入れたような住宅が紹介され、従来の常識が崩れ去るほどの衝撃を受けたのである。くしくも当時建てた家は、両親達の援助の下で進められた計画で発言権もなく、こうしたいという要望も明確ではなかったため、結果、出来上がったのは注文したのにもかかわらず、建て売り住宅とかわらない家。最初から使い難く、不満が募っていたこともあって、後悔と同時に建て替えを考えるに至ったのだった。住宅展示場等を回り始めたのもその頃からで、以来、情報を蓄積し構想を練り上げながら長きに渡り夢を育んできたのである。
 
その、Oさんのガレージハウスは、東京都内のとある住宅街、袋小路の奥に立地している。敷地は、接道2m、面積28.3 坪の変形地。建築条件としては厳しい狭小地だったが、建築にあたり一番のテーマとしたのは3 台を母屋に格納できる“基地”であった。それ故、面白い工夫がされている。

リフトの設置でリビングからエスプリを眺める



まず一つは、個人宅では珍しいターンテーブルがエントランスに設置されていることだ。これは、接道の関係で敷地内での切り返しが困難だったため、旧宅を売却し他で条件の良い土地を買って建てることも視野に入れて思案していた時に、偶然、利用した駐車場のターンテーブルを見て閃いたものであった。これによって、建て替え計画は、夢から一気に現実のものへと踏み出すこととなったのである。
 
もう一つの工夫は、リフトの採用である。弊誌でも度々その実例を紹介しているので、Oさんもリフトを設置して母屋に3 台を格納することはわりと直ぐにイメージできた。面白いのは、2 階をスキップフロアとし、リフトで上げたクルマを意図的に2 階へ食い込ませ、その段差を使ってガラス越しに2 階リビングから見えるようにしていることである。Oさんの要望として、1 階ガレージ奥の書斎からクルマが見えるように、というのは、今回のガレージの大きなテーマであったが、結果的に、想定してないリビングからも愛車を眺められることになった。それは、Oさんにとってうれしい誤算であった。

ウルトラ警備隊の秘密基地風ガレージの完成!?


 
こうして、出来上がったガレージハウスは、写真からも分かるようにガレージ内部に邪魔な柱がなく、使い勝手の良さを想像させるだけでなく、見栄えまでもが考えられている。そこはOさんのこだわりで、当初想定していた木造では不可能で、1 階だけは坪単価の高いRC 構造とすることで実現したものである。その結果、外観は、コンクリートと黒いガルスパンの組み合わせとなったが、それは弊誌でみたガレージの影響も多分にあるが、無駄な装飾のない無機質な感じはOさんが狙った基地のイメージであった。
 
ちなみに、Oさんのいう基地とは、子供時分に見たウルトラ警備隊の秘密基地。ターンテーブルやリフトは狭小であるが故に取り入れたものだが、Oさん好みの仕掛けでもあったのだ。基地感のある仕掛けはもうひとつある。それは書斎にも設けたラダーである。そのラダーは2 階収納庫の隠し扉に繋がっており、2 階と行き来できるのである。ラダーで降りて……確かに基地である。
 
完成から半年が過ぎその住み心地を伺うと、「20年温めてきた構想です。GarageLife 誌や200 棟以上を見てまわる中で得た知識のすべての要望を99% 妥協せず取り入れましたから、満足度は高いです。遂にやったという、高い達成感に包まれ毎日を過ごしています」というお答えであった。旧宅とは違い、こんどばかりは、Oさんの趣味にあった家となったようである。


リフトは色々なタイプがあるが、O さんが選んだのは『テクニカル東新』の片側支持の2 柱式。理由は壁際に設置すると上げた時に支柱が邪魔にならず、ガレージを広く使えるから。ガレージ奥にはOさん専用の書斎もある。レカロのバッファローレザーの特注座椅子や厳選して選んだ掛け時計などこだわりの調度品を揃え、居心地の良い空間を構築している。

取材協力:田辺計画工房

Garage Life vol.76より掲載

photo/Yasuhiro-YOKOSAWA(横澤靖宏) text/Noritoshi-SAKAMOTO(坂本憲俊)

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