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2020.09.02

“邪悪なもの”がとり憑いた魔性の1台! 映画『クリスティーン』のボロボロの'58年型フューリーを再現するとこうなる!

1958プリマス“クリスティーン”(ダメージバージョン) ◉AMT 1/25改造 ◉作例制作:秦 正史 ライト点灯はLED付きの小型リチウム 電池を裏側から着脱することで実現。ボ ンネットもフェンダー同様プラペーパー を貼って造形した。このシーンではエプ ロンパネル下部に補強が付いているらし くバンパー下の形が妙なのだが、それも 表現してみた。

クリスティーン―映画劇中車の中でも、特に目立った改造が加えられたルックスでないにも拘わらず、ベース車の名前より劇中の名前で広く知られている、稀有な例であろう。映画『クリスティーン(CHRISTINE)』は1983年に公開された作品で、原作はスティーブン・キングによる同名小説、刊行も映画と同年である。
 
ストーリーはざっくりと言えば、邪悪な意思を持つ’58年型プリマス・フューリーを中心に据えたホラー映画である(原作は青春小説という趣も強い)。気弱だがメカには強いアーニーがひと目惚れで購入した、ボロボロの’58年型フューリー。しかし、“クリスティーン”の愛称を持つこのフューリーは、何か“邪悪なもの”がとり憑いた魔性の1台で、救い主アーニーへの愛情から、彼に害をなすものを血祭に上げていく―これが基本的なストーリーで、映画も小説も大きく異なってはいない。

実際の撮影では20数台のプリマスを全米から集めた


 
主役のクリスティーンは一応フューリーとされるが、劇中車は「PLYMOUTH」のエンブレムこそ付くものの「Fury」ロゴはなく、その辺はぼかされている。この年までのフューリーは専用色としてアイボリーのみ用意されていたが、クリスティーンは特注で赤く仕上げられたという設定で、小説では詳述されているものの、映画では冒頭シーンの描写から、その設定が引き継がれていることが何となく窺える程度。撮影には20数台のプリマスが全米からかき集められたが、フューリーは希少かつ貴重であったため、同じボディを持つベルベディア、サボイ、そして基本ボディは共通である’57年型がそれらの大半で、’58年型フューリー/ベルベディアのパーツを使って外観を統一したという。
 
このプリマスたちは、迫力ある走行シーンのため強力なエンジンを載せた仕様から、クラッシュのための“見た目だけ”仕様、そして隅々まで完璧な美しさを持つ仕様まで、様々にアレンジされたが、最終的には2台を残して全てが破壊されたそうだ。もっとも、金にモノを言わせて現役車両を買い込みそれを片っ端から壊したということでもなく、廃車置き場から引き揚げてきた完全なジャンクなども多く含まれていて、何とか撮影可能な状態に修復し(でっち上げ)たということらしい。

プラペーパーでサメの歯のようなボンネットを制作



さて、映画の見所のひとつであるのが、破壊されたクリスティーンが終盤のブルドーザーとの対決を前に、フォード・コルチナに突っ込むシーンでの、ボンネット先端がサメの歯のようになったクリスティーンを制作してみた。他にも、不良たちにメチャクチャに破壊されたシーン、火だるまになったシーンなど、作ってみたいクリスティーンは枚挙に暇がない。
 
クラッシュ状態の模型での再現は難しく、よくあるのはアルミ箔を使った作り方だが、皺の寄り方がクチャクチャになりすぎる感じなので、個人的にはこれは好きでない。前回劇中車特集での小田島氏のZのように、洋白板を使うのがリアリティも高いと思うが、作業そのものがちょっと難しそうだ。そこで採用したのはプラペーパー。実はかねがね、潰れた鉄板の皺の寄り方は、紙をクシャクシャにした時の感じに近いのでは? と思っていたのだ。プラにしてペーパーであるプラペーパー(別に紙ではなくただ極薄のプラというだけだが……)、結論としては、ベストな選択であったと思える。なお作例はノーマル版のベルベディアをベースに、デカールのみクリスティーン版から流用して制作した。ご協力頂いたフリートウッドさんにお礼を申し上げます。 (秦 正史)


トランクの「PLYMOUTH」ロゴはモールドもデカールもないので、MCGのエッチングを使用。ボディ塗装後に貼ったので、仕上がりはあまり綺麗ではない。

modelcars ドラマの劇中車を楽しむ「役者か役車か」より掲載

作例制作、文:秦 正史

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