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2020.09.21

3代目「フェアレディZ」の「ポール・ニューマン」レースカーを再現! 80年代アメリカで活躍した300ZXターボ

ニューマン-シャープ・レーシング300ZXターボ ◉タミヤ1/24改造 ◉作例制作:飯塚健一

「ハスラー」「明日に向かって撃て」など数多くの映画の名優として、また映画監督としても有名なポール・ニューマン。1969年に自身が製作したカーレース映画「レーサー」で、プロドライバーのボブシャープから手ほどきを受けたことをきっかけに、モータースポーツに魅了され現実の世界でも44歳でプロデビューを果たす。
 
その後1979年にル・マン24時間にポルシェ935で出場し総合2位、クラス優勝を果たすほか、1980年代はニューマン・シャープ・レーシングとしてSCCA主催のトランザム・シリーズなどで活躍した。
 
ポール・ニューマンは1981年に登場した6代目スカイライン、R30型のTVCMで「愛のスカイライン」というキャッチとともに出演していたことから、R30型はニューマン・スカイラインと呼ばれている。そのためポール・ニューマンといえばスカイラインというイメージがあるが、アメリカではフェアレディZすなわち「Z-car」遣いとして名を馳せていたのである。
 
今回紹介するのは3代目Zとなる300ZX(Z31型)をベースとしたニューマン・シャープレーシング300ZXターボのモデルカーである。ビルダーの飯塚氏はこの300ZXのデカールを20年以上前からストックしていたということで、今回製作を進めていくことになった。
 
「大幅にモディファイされたボディも、逆にいえば基本形はZ31のそれを踏襲していることから、タミヤのZ31をベースに改造すれば比較的簡単にこのデカールを消化できると考え、半ば軽い気持ちで今回の制作をスタートさせた」と語るが、実際どのように製作されたかを解説していただこう。
 
迫力の前後フェンダーとボディワーク


 
ボディワークはフロント部や前後フェンダーが主となる。この手の改造、通常はエポキシパテを使うのだが、今回はその量だけでもかなりのボリュームになると想像できたので、プラ板工作でフェンダーのアウトラインを作っていくこととした。
 
実際、各面の図面を作成し、それに沿ってプラ板をカットし、アールを調整しながら組み立てていく。位置関係に留意しながらボディへ接着していったプラ板製フェンダーだが、パッと見は良いものの、やはり各部の面構成においては、プラ板から作り出せる単純な二次曲面では限界があり、結局はパテのお世話になりながら面出ししていくこととなった。
 
いよいよストックしていたデカールであるが、一見黄ばみもなくキレイな状態だったものの、いざ貼っていくと、カッターで無数に筋を入れたかのように、バラバラに裂けていく。経年劣化してしまった古いデカールにはよくある症状だ。
 
プライベートな作品であればここで「ハイ終了!」となるが、依頼を受けた本作品ではそう簡単にはいかない。裂けたピースを一個ずつ、ピンセットでしかるべき場所に並べていき、そのまま定着するのを待った。今回は奇跡的にほとんど分からないレベルまで修復できたが、一時はどうなることかと頭を抱えた。そんなことから、残りのデカールには急きょシートの状態でクリアーを吹き付け、塗料の被膜を一層設けた上で貼り付け作業を進めていった。デカールはやはり生モノだと痛感した。
 
ヨーロッパとは違うアメリカのレースカー
 
次に内装だが、ここでも各国のレギュレーションによるクルマ造りの違いを実感することとなる。私が普段制作するハコ車のレーシングカーは、ヨーロッパか日本のモノが多く、つまりはドアと窓があって、外と中が区切られている造りである。
 
しかし今回のカテゴリーのクルマは、ドアは存在せずサイドの窓ガラスもない。更に助手席側には、室内(?)の空気を使って何かのクーラーを冷却するファンがむき出しに取り付けられている等、どこからが外で、どこからが室内と言って良いのかよく判らない造りだ。
 
更に前後ウィンドウに沿うように設置された補強材も無骨な雰囲気を醸し出すなど、とにかく機能最優先で造りがワイルド。この手のレーシングカーの造りに詳しくない私としては、かなりショッキングな構造を興味深く楽しみながら制作させて頂いた。
 
リアの大きめのタイヤは1/20 F1マシーンからの流用。全体の無機質な空気の中に柔らかみを表現したかったドライバー保護ネットは、古くなった布団の切れ端から造っていくなど、適材適所あちらこちらから、それに見合う素材を探したのだが、こんな作業も改造プラモの醍醐味である。
 
詳細は制作記をご覧いただきたいが、今回の様な大幅なボディ改造も元をただせば、信頼できるベースキットがあってこそ、そう実感した。すでに30年以上も前の製品だとは思えない、かっちりとした雰囲気のタミヤのZ31も、そろそろ再販されることを切に願ってやまない。(飯塚健一)

modelcars vol.281 より掲載

photo:Yoshihiro-HATTORI(服部佳洋) text:Masashi-HATA(秦 正史)

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