MOBILITY

2020.10.02

ポルシェのEV「タイカン」の最上級モデル「ターボS」をサーキットで試乗! 「最新のポルシェ」は「最良のポルシェ」=「電動のポルシェ」!?【Eマガジン】

ポルシェ・タイカンの最上級グレード「ターボS」。後ろは911「カレラ4S」。

袖ヶ浦フォレストレースウェイサーキットで行われたポルシェの電気自動車「タイカン」の試乗イベント「Taycan Touch & Feel Session」
に参加させていただいた。8月には富士スピードウェイでプロドライバーの隣でタイカンの同乗走行を体感したが、今回は自身がハンドルを握ることになる。

用意されたのはヨーロッパ仕様のタイカン・ターボSと911・カレラ4S。電気自動車のタイカンも911と同じようにサーキット走行を楽しむことができる! ということをこのイベントで体験できるらしい。

走行前、タイカンはさすがに4シーターのセダンということもあり、軽量な2ドアスポーツカーの911にサーキットではかなわないだろうし、あくまでも似たような走行フィーリングが試せるのかな? と感じていた。比べるなら同じ4ドアのパナメーラでないと、タイカンが可哀想では? とも正直思っていた。

ちなみに私は911をサーキットで乗った経験はなく、袖ヶ浦のサーキットは10年以上前にBMWのオートバイで何回か走行した経験があるだけである。

走行はサーキットを3周するというもので、先導車に続いて1周目を軽く街中のような感覚で走り、2周目、3周目とスピードを上げていくというもの。これならばサーキット初心者の私でも大丈夫そうだ。

まずは911・カレラ4Sを試乗



まずは911・カレラ4Sに試乗させていただく。さすがにサーキットに映える! 文句なしにカッコイイし速そうである。じつはこの試乗会の2日前に’73カレラRSと964・カレラ4に試乗していたため、ナローポルシェから続く911直系のインテリアにデジャヴ感と伝統を感じつつ、エンジンをかけてみる(普段広報車としてお借りするクルマがほぼEVのため、エンジンをかけること自体にアナログ感を感じるが)。

第一周目はそんなにスピードを出さないということで、コーナーを先導車に続いて走行。スポーツカーながらサスは硬くなく、乗り心地もよい! シフトアップ、シフトダウン時の排気音は、オートマで普通に走っているだけなのにとてもレーシーな気分にさせてくれる。

2周目の直線で思いっきりアクセルを踏むと、排気音が室内に響き渡り気分が盛り上がる! ただ、富士スピードウェイでタイカン・4Sの助手席に同乗しその加速を体感していたので、自身で運転しているということもあるが、正直、そこまで速いという感じはしなかった。

3周目は少しスピードを上げ、急コーナーに進入するがまったく不安がなく、あっという間に911・カレラ4Sの試乗は終了。2日前の’73カレラRSのアナログ感と排気音が強烈だったので、現行型の911はずいぶん乗り心地がよくマイルドで運転しやすいのだなというのが、その印象であった。

いよいよタイカンの最上級グレードに試乗



次にタイカンの最上級モデル、ターボSに乗りこむ。先導車に続いて進むと、モーター音がエンジンのような宇宙船のような!? 一度助手席で経験してはいるものの、未来の乗り物感にワクワクしてしまう。タイカン独特の音と未来感を一周目は楽しむが、走っているうちにエンジンっぽいフィーリングも感じるのでなんとも不思議である。

2周目はモードをノーマルからスポーツに変更。直線で911の時と同様、アクセルを思いっ切り踏んでみると、背中が置いていかれるような圧倒的加速に驚いてしまう。自分でアクセルを踏んでいるのにこの加速感! 正直、先ほど乗った911より断然速く、かなり興奮気味となった。

さらに、以前、富士スピードウェイで同乗したタイカン4Sよりも速い感じがする。実際スペック的にも速く、4Sの0-100km/h加速が4.0秒に対してターボSは2.8秒なのだが、どちらも今回体験した「スポーツモード」の上に「スポーツプラス」というさらに上のモードは使用していない。ちなみに911・カレラ4Sの0-100km/h加速はカタログ値で3.6秒だが、こちらも「スポーツモード」で体験させていただいている。

「スポーツプラス」は私が体験した以上の加速だと思うと、なかなか強烈である。ちなみに、カタログ値ではタイカン・4Sの最高出力は435馬力でオーバーブースト時が530馬力。タイカン・ターボSの最高出力は625馬力でオーバーブースト時は761馬力となっている。

電気自動車といえば回生ブレーキだが、これに関しては確かにテスラのEVやジャガー・I-PACEに比べて効いている感じがない。ポルシェの場合は、スポーツカーということでブレーキはブレーキペダルを踏んで制御するというのがコンセプトということ。回生の効き具合は調整できるものの、それほど効かせてはいないということだ。

「最新のポルシェは最良のポルシェ」=「電動のポルシェ」!



コーナーも私のような初心者が乗るレベルでは、911カレラ4Sとそれほど変わらない。4座のセダンという感じもなく、2.2トンという重さも感じず、変速ショックもない。テスラ・モデルSは、どっしりとした速さという感じがするが、タイカンは911に乗った後でも重いクルマという感じはせず軽快であった。

サーキット初心者なので直線の加速くらいしか2台を比べる術もないが、コーナーもスムーズにパス。加速がシームレスで3周目の直線も「ワープ?」と思うほどあっという間に第一コーナーが迫ってくる。そしてブレーキも圧倒的に効くのだ。2日前に体験した’73カレラRSのサウンドと加速感もアナログ的で興奮したが、タイカンのデジタル的なサウンドと加速も衝撃的である。

確かに911・カレラ4Sと比べると、タイカン・ターボSの凄さ、新しさがわかる。価格も911・カレラ4Sが1835万円、タイカン・4Sが1448万1000円でタイカン・ターボが2023万1000円、タイカン・ターボSが2454万1000円なので、ポルシェのラインナップとしてみれば、タイカンが電気自動車だから特別に高いということはない。

ポルシェオーナーの方であれば、価格的にはなんの違和感もない。むしろ安く感じるのかもしれない。サーキットで今回のように911と乗り比べれば、すんなり電動化へとシフトしてしまう気がしてしまう。何しろ最新のポルシェは最良のポルシェということなので、すなわち最良のポルシェは電動のポルシェなのだ。

 気になるテスラ・モデルSとの比較

試乗のあとマーケティングの前田氏にお話を伺ったが、氏は元々テスラジャパンに在籍されていたということもあり、テスラを知り尽くしている。
 
「テスラ・モデルSを最初に買った方は、0-100加速2.8秒という走行性能、速さに惹かれた方も多いと思います。ただ、そういう方々はタイカンを買うお金もありますし、その魅力に刺さるでしょう」

「5年間テスラに乗っていた方であれば、タイカンを試乗すればその良さがさらに分かります。もちろんテスラにはテスラのよいところがあり、自動運転でありファミリー向けということがありますが、ポルシェはスポーツカーを作っていくというブランドです。両社スタンスは違いますが、是非乗って欲しいですね」とのこと。

確かにテスラ・モデルSはサーキット走行をメインには想定しておらず基本設計も古い。しかしモデルSのP100Dが当時すでに0-100km/h加速2.8秒という、タイカン・ターボSと同じ性能を実現していたということは、今になると衝撃的である。ただ、この加速力もテスラの場合は連続となるとその性能が発揮できないという。

一方、タイカンの場合は連続で加速してもバッテリーがゼロになるまで、同じパフォーマンスを維持できるとのこと。これにはバッテリーを冷却しながら、電流を低くしていることがポイントで、そのために800Vという高電圧のシステムを搭載しているのだそうだ。高電圧だと電流を低くできるほか、ケーブルの面積も小さくでき車両の軽量化にも貢献。また高電圧なので充電速度も速いという利点もある。

さらにタイカンでは、モーターに永久磁石モーター(PMモーター)を使っているため効率がよい。その結果、熱がでにくく、連続して何回アクセルを踏んでも0-100km/hを2.8秒で走行することが可能なのだそうだ。

ポルシェの急速充電網はすぐにテスラ並みに!?



あとはテスラのアドバンテージたる急速充電網である「スーパーチャージャー」にポルシェの急速充電器「ターボチャージャー」がどう対抗していくかということになるが、テスラくらいの充電網はすぐに整備されるとのことで、タイカンのカタログにもポルシェのチャージングマップが記載されていた。

ターボーチャージャーは現在、東京では有明のポルシェのポップアップストア「Porsche NOW Tokyo」のほか3箇所を計画中で、東京には合計で4箇所。それ以外では全国の主要なポルシェセンターにターボチャージャーを装備していくという。

大阪はヨドバシカメラの入る「リンクスウメダ」と「あべのハルカス」で名古屋は「ヒルトン名古屋」と「ナゴヤ セントラルガーデン」など、テスラが高速道路のIC近くに整備していくのに対し、比較的街中に計画しているようだ。

タイカンを購入したオーナーが無料で急速充電器を使えるかは現在検討中ということだが、タイカンのスーパーチャージャーはチャデモベースで出力が150kW。クルマの性能次第でタイカン以外のEVも充電できるかもという話もあった。タイカンの日本仕様は、メディア向け試乗を11月から予定しているということ。街中で見かける日が今から楽しみだ。

写真、文:陰山惣一

RECOMMENDED


RELATED

RANKING