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2020.12.23

日本統治時代、台中市内唯一の建築物「道禾六芸文化館(台中刑務所演武場)」人生の価値を深めるための場所【台湾・台中散歩】

台湾の注目エリア、台中には、今も日本の統治時代の建物が残されている。

統治時代には日本人の設計などによりさまざまな建物が台湾全土に建てられたが、時代の流れや老朽化、921地震などさまざまな要因によって、台中でもその面影を残す建築物は少なくなっているようだ。

それでも「宮原眼科」や「通称銀行」「旧台中市役所」などといった建築物はリノベーションされショッピング・モールなどとして現代でもその面影をみることができる。

また旧市役所と同様、東京駅丸の内駅舎の設計でも知られている、建築家の辰野金吾氏の設計による台中駅も現存している。

そんな統治時代の建築物として、台中市内に唯一残されている演武場が「道禾六芸文化館(台中刑務所演武場)」だ。

【写真6枚】ほっこりする統治時代の建物と自然を見る

剣道、柔道の鍛錬のための施設

台中刑務所演武場は、1937年(昭和27年)に、剣道や柔道といった武道の鍛錬のために刑務所の付属施設として建築され、2004年に台中文化局が歴史建築物として登録。

この演武場を含む周囲の建物などを総称し、このエリアは「道禾六藝文化館」と呼ばれ、武道を始めお茶などのお稽古事やイベントの会場として使用されている。

建物の中に入る以外は基本的にオープンな施設となっているので、外から見学するだけなら無料で楽しむことができるのも、ウレシイところだ。

まずは、台中刑務所演武場であった惟和館から見ていくことにしよう。

基礎が地面より一段上げられた、シンメトリーの外観が特徴的な「惟和館」では、現在でも柔道や剣道の稽古、様々なイベントなどが行われている。

当時の姿が想像される、板張りと畳敷きの空間

正面から見るとシンメトリーなシルエットが印象的なこの惟和館は、1937年に建てられた当初は武道の鍛錬のための道場としての役割を持っていた。

そして戦後に台中刑務所から台中監獄に名称が変更されると共に監獄刑務職員の宿舎として使用され、1992年には老朽化によりその役割も終了。

その後921地震で被害を受け、2004年の歴史建築物の認定後に火災の被害にもあってしまうが、2009年から1年以上の作業期間を経て現在の姿に修復されている。

「惟和館」の階段を登ってみる。入口は閉まっていたが正面の窓から覗いてみると、内部は板張りの床と畳敷きの2面に分けられていた。

畳の部分は柔道、板張りの部分は剣道場となっているのであろう。我々が訪れた当日はその中に人影はなかったが、刑務職員や警察官などが武道の鍛錬を行っていた当時を想像しうるほど、修復を受けた後もその雰囲気は残されている。

現在でも柔道や剣道の稽古、イベントなどが行われているそうだ。さらに建物をひと回りして上を見上げると、鬼瓦と破風装飾を見ることもできる。


惟和館に加えて「心行館」「傳習館」といった建物があり、このエリアを総称して「道禾六藝文化館」と呼んでいるようだ。これらの建物でも、さまざまな文化活動が行われている。

芸術的経験と文化を通して、人生の価値を深めるための場所

「道禾六芸文化館」は演武場に加え、「心行館」「傳習館」といった日本建築と庭園によって構成されている。

心行館は茶道、書道、古琴など、傳習館は弓道や書道などの体験や教室が行われるなど文化的な活動が行われている。

また、庭園の中央部分には、ある意味この場所のシンボルとなる巨木=ガジュマルがその存在感を示している。

1895年(明治28年)に植えられたというこのガジュマルも2006年の火災の際に被害にあったが、根は残ったため1999年に中央政府と台中市政府の共同の取り組みにより、再びこの地に息づくことになったのだという。

そのガジュマルの前にはステージがあり、ここでも様々なイベントが行われているそうだ。

孔子の教えとなる六藝之教の精神を再解釈した新六藝之教という精神から、さまざまな芸術的経験と文化を通して、この場所で人生の価値を深めてもらいたい、ということで名付けられた「道禾六藝文化館」。

単なる歴史建築物としての存在だけではなく、武芸と文化活動、そして人々の憩いの場ともなっている。

命名の精神とは別に、実はここも台中の人の"映え"スポットとなっており、結婚式用の写真をここで撮る人も少なくないのだとか。

取材当日も、傳習館の前でユーチューバーと思わしき女性が、コスプレをして撮影(結婚式、コスプレ、コマーシャルの写真撮影には、料金が必要)していたことを付け加えておこう。

交通は台中駅からバスと徒歩で約12分、徒歩のみでも20分となっており、近くには同じく歴史的建築物となる台中市役所などがあるので、建物散策するのもいいだろう。

15~20人の団体用のガイドツアーも用意されている(1週間前に電話で予約が必要。04-2375-9366)。
 

道禾六芸文化館(台中刑務所演武場)

address:台中市西区林森路33号
Tel: 04-2375-9366
営業時間:新興関(ティーハウス)/月曜9:30〜17:00、火曜〜日曜09:30〜18:00
展示ホール/火曜日〜日曜日9:30-17:30(12:00~13:00まで閉館)。
定休日:傳習館/月曜日

http://sixarts.org.tw/

Photo & text:Hiroyuki-KONDO

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