ランボルギーニ・ガヤルドをクーペとスパイダーの2 台所有するOさん。
愛車が最高に格好よく映えるガレージを追求してたどり着いたのは、大きな開口部をもつオフィス&倉庫ビルをリノベーションすること。
近未来的なデザインのガヤルドに相応しい塒(ねぐら)が実現した。
小さな頃からの憧れだったスーパーカー。30代後半のOさんは、フェラーリに乗るためにはどうしたらいいのか? を考えてキャリアを描き、仕事を選んできた。
やがてついに念願のフェラーリを買おうとディーラーに訪れたが、納車まで2年待ちの状況。
1年ほど経った頃にふらりと入ったランボルギーニのディーラーで、ガヤルドの近未来的でシャープなシルエットに心奪われたのだとか。
そうして人生初のスーパーカーであるガヤルド・クーペを手に入れたのが2007年のこと。
その後さらに、ガヤルド・スパイダーに乗っていた奥さまと出会いご結婚!
ご夫婦でガヤルド2台を所有することとなったのだった。
【写真11枚】SFみたい! な近未来的ガレージを拝見!
ガヤルドを楽しむためのリノベーションそうなると欲しくなるのは、せっかくのランボルギーニの姿を眺め、身近に感じられるガレージのある家である。
以前は都心部の駐車場が充実したマンションに住んでいたOさんだが、クルマを数多く停められるような不動産物件は、都内では普通に探してもなかなか見つからない。
土地を購入してゼロから新築するか、あるいはオフィスビルや工場などを購入してリノベーションするか──探すエリアも東京の外まで広げた。
そんな悩める時期にたまたま知人経由で知り合ったのが、ガレージ専門誌『ガレージライフ』で連載していた建築家、山本健太郎さんだった。
土地を買うなら何坪あればいいのかから相談し、途中、マンションのリノベーションも一緒に検討したこともあった(マンションは結局、大きな改造ができないので断念)。
ようやく見つけたのが現在のガレージハウスの物件で、1階が倉庫、2階・3階がオフィスという鉄骨造のビル。
なにしろオフィスなので空間は主にパーティションで仕切られているだけで、「あれもできる、これもできる」と、リノベーションするには格好の物件だった。
さらに、高速道路の出入口が近く都内への通勤に便利という点も大きな決め手となった要素である。
ガレージとスタジオ、ジムを併設リノベーション計画にあたり、オーナーからのリクエストはガレージと、仲間と練習できる音楽スタジオ、それにトレーニングをするワークアウトルーム(ジム)があること。
それに広いベッドルームと、開放感のあるバスルーム。
そして、室内デザインの中心的なコンセプトとしてOさんが「この映画を見てください」と山本さんに渡したのは、ユアン・マクレガー主演の近未来 SF 映画『アイランド』(2005 年)のDVD だった。
劇中に出てくる建物がデザインに凝っていて、特にチラッと映ったガレージは「こんなガレージが欲しい!」とOさんの感性に突き刺さったのである。
1 階にはクルマ2 台分のガレージを増設しているが、ガレージ全体を天井は限りなく黒に近いグレー、壁はチャコールグレー、床も黒系のタイル敷きでコーディネート。
照明にもこだわることで、2 台のガヤルドのシャープなスタイリングと塗装の質感が存分に引き立つ空間となった。
既存設備を流用した空調機器もしっかりペイントされている。
2 階には寝室とワークアウトスタジオ、バスルームが配置されており、それぞれの空間がガラスで仕切られるため開放感と採光は十分。
バスルームからは、増設したガレージの屋根部分を利用したウッドテラスに出ることができる。
暮らしの中心となるLDK は3階に配され、白大理石の床をベースにしたモノトーンの空間でありつつ、各素材の質感が空間全体にメリハリと表情をもたらしている。
まさにSF 映画に出てくるようなモダンな空間を暖かく照らし出すのは、南側のリビングから入る太陽の光だ。
既存建物の構造を活用することで、浮いたコストを内装などに回し、よりグレードの高いガレージハウスを実現することができる。リノベーションのメリットとは、単なる「安さ」だけではないのだ。
愛車2007 年式ランボルギーニ・ガヤルド・クーペ
2007 年式ランボルギーニ・ガヤルド・スパイダー
2008 年式三菱ランサーエボリューションX
2010 年式ドゥカティ・スーパーバイク848
2012 年式KTM 200デューク
OWNER’S CHECK■一番気にいっているところは?
全部気に入っています!
■ちょっと失敗したところは?
空調は既存のままなので、将来はアップグレードする必要があります。
■次の夢はなんですか?
アヴェンタドールを買うこと。
■読者へのアドバイスを!
テーマをもって、設計者に共感してもらうことかと思います。
建築家から一言Ka デザイン 一級建築士事務所
山本健太郎さん
モノトーンのシャープな色使いがOさんのお好みで、ガレージに入るガヤルドもシャープなシルエットでガンメタとオレンジでしたので、それをイメージしながら設計とコーディネートを進めました。
いかにクルマが映えるような配色にするか? ガレージの天井黒っぽく塗ったのは正解でしたね。
「カッコよくお任せ」という一番大変なリクエストをいただきましたが、一緒にイメージを共有することで、満足いただけるガレージハウスが実現しました。
http://www.ka-design-studio.com/