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2021.03.24

やっぱ「ハイポジ」っしょ! 「maxell」の「UDⅡ」カセットテープ誕生秘話! CMにはWHAM!(ワム!)を起用【ステレオ時代】

懐かしの「maxell UDⅡ」

マクセルが初めて作った音楽用カセットテープUD。

そしてその進化形として、ハイポジを身近にしてくれたUDⅡ。

発売と同時に絶大な支持を得た名作カセットは、いかにして誕生したのか。

そこには先見の明と緻密な戦略、そして確かな技術力があった。

今回はUDを軸に、マクセルの傑作音楽用カセットテープの歴史を、証言とともに振り返る!

KUNO
工野正樹
1970年にマクセルに入社。貿易関係の部署を経て、1971年頃に営業企画の部署へ異動。カセットテープのマーケティングから企画、戦略まで手掛けた。


マクセル、音楽カセット誕生の歴史

あまり知られていないがカセットテープを日本で最初に発売したのはマクセル(当時、日立マクセル)だった。

1966年7月のことだ。

とはいえ、この頃のカセットテープは、フィリップスが当初考えていたとおり、会議などの録音が主な用途。

音楽はオープンテープというのがセオリーだった。

しかし1968年にTDKがSD(Super Dynamic)を発売し、音楽用カセットという新しいジャンルが誕生する。

「もともとカセットテープというがっちり決められた規格の中で性能を上げる、というのが日本人の性に合っていたのだと思います」と語るのは工野正樹氏。

工野氏は1970年にマクセルに入社。貿易関係の部署を経て、1971年秋に営業企画の部署へ異動。

以後カセットテープ商品企画、市場戦略などのマーケティングを手掛けることになった。


社運を賭けたカセットテープ!


さて、SDが登場し一気にカセットで音楽を録音するのが一般的になったか、というとそうではなかったそうだ。

「1970年にマクセルもUD(Ultra Dynamic)を発売しますが、まだ音楽用テープといえばオープンの時代でした。ソニー、スコッチにBASFといったメーカーが主流だったのです。マクセルのシェアはとても小さかった」と工野氏。

実際カセットテープはまだまだ会話録音用が主流だった。

だがマクセルは技術開発、広告・促販などすべてを音楽用カセットに集中し、2代目UD(1972年)はマクセルの社運を賭けたカセットとなった。

「当時、白いハーフ(※リールやテープを収めるカセットテープ本体の外殻)が普通だったのですが、高性能をアピールするために黒いハーフにしました」

「生産性は落ちましたが、ハーフを組み上げるネジも黒にし、ハーフの精度も可能な限り高くしたのです。テープの走行性能を上げるためです。テープ自体もPX-ガンマヘマタイトを使った高性能なものです」

こうしてこの2代目UDは大ヒット。その後音楽テープは黒いハーフが主流となっていった。

またこの2代目UDにはもうひとつ、その後のカセットに大きな影響を与えた工夫があった。46分テープの誕生だ。

「もともと会議などを録音するためのメディアだったため、30分、60分、90分とキリの良い分数がラインナップされていました」

「ただアメリカでは90分テープのA面、B面それぞれにLPレコード1枚ずつ録音する、という使い方が流行っていました。そのため45分がLPにちょうどいいというのは分かっていたのです」

「ただ日本人の几帳面な性格から1本に1枚入れたいだろうな、と思ったわけです。実際45分テープを一部のメーカーが商品化していましたし」

「マクセルもそうしようと思ったのですが、『22・5分×2』と表示するのが嫌で、それであれば片面23分の46分にしよう、と考えたのです」

1974年に初めてUDで46分カセットを出すと、これがユーザーに受け入れられ、翌1975年には各社が音楽用テープに46分をラインナップ。

46分イコール音楽用カセットという図式が定着したのだ。


XL and UD
右が大ヒットした2代目UD。左は『サンダーバード』というコードネームが与えられた初代UD-XL。画期的なアイデアがいくつも盛り込まれた。

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