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2021.09.29

「ベントレー」のデザイン部門が70周年! 家具や建築にも発展したこだわりとは?

イギリスの高級車メーカー「ベントレーモーターズ」は、クルー本社に自社のデザイン部門を設立してから、今年で70周年を迎えた。

70年前、クルーの手によってデザインされた最初のベントレーは、1951年の「Rタイプ コンチネンタル」で、スタイリング担当のジョン・ブラッチリーの手によるものだ。

ジョンは、ベントレーの象徴である 「ブルートレイン」のコーチビルダーである、ガーニー&ナッティング社でチーフデザイナーを務めた、経験豊かで研ぎ澄まされた感覚を持つデザイナーだ。

変わらないデザインへの信念、初のEV(BEV)開発

この70周年を迎え、ベントレーはこれまでにない新たな歴史を刻もうとしている。初のBEVづくりに着手することだ。

これについて、ベントレーのデザインディレクターであるアンドレアス・ミント氏は次のようにコメントしている。

「私たちのデザイナーチームは今、次の挑戦に取り組んでいます。それは、これまでの歴史的なクラシックなフォルムやディテールを、真に未来に向けたデザインに変換し、再構築しなければなりません。それだけでなく、この車は単に電気自動車であるだけでなく、さまざまな意味で持続可能でなければなりません」

「そこで私たちは、持続可能な素材、リサイクル性、新しい作業方法を模索し、車のライフサイクルを通じて少ないカーボン排出量を実現します。このデザインを完璧に仕上げることで、ベントレーデザインのこの驚くべき歴史の次の章を保証することができるのです」

【写真20枚】70年間貫いてきた、洗練されたデザインを追究

70年前、1951年に設立されたデザイン部門の主な役割は、アイデアやデザイン案を伝え、そのビジョンを他の部門と共有することだった。

これを実現するため、デザインスケッチを水彩画のような手描きの作品に仕上げていたという。完成品はもちろん美しく仕上げられているが、現在の描画ソフトのように、失敗しても「元に戻す」ボタンを押すことができないことを考えると、その完成までの道のりがいかなるものかがわかる。

水彩画で描かれたレンダリングは、モデルメーカーに新型車の形を伝えるために、側面、前面、背面、平面図、ボディに沿った断面図など、縮尺や原寸の技術図面で再現された。



グローバルパンデミック期の開発を救った、バーチャルリアリティ

70年後の現在、最新のデザインでは、高度なコンピューターのおかげで、バーチャルリアリティで表現することができるようになった。デザイナーは、ロケーションに関係なくスクリーンやヘッドセット、AR(拡張現実)を介して体験できるバーチャルな世界でスケッチできるようになった。新しいツールや技術を使っても、デザインが完全に成熟した後は実物大のモデルを作成し、細部まで完璧に仕上げてから生産に入る。

インテリアデザインの責任者であり、ベントレーのデザインチームで最も長く勤務しているダレン・デイ氏は次のようにコメントした。

「世界的なパンデミックによる渡航制限のため、少なくとも2人のデザイン担当の社員が他国からクルーに戻ることができませんでした。しかし、バーチャルリアリティを使うことで、デザインレビューを行い、ディテールを評価し、質感を変え、色を選び、素材を交換しながらも、進捗を確認し、納期を守ることができます」

ダレンは27年前にベントレーのデザインチームに加わった5人のうちの1人だ。現在、デザインチームは大きく成長し、インテリア、エクステリア、ユーザーエクスペリエンス、色や素材、特注品のリクエスト、コラボレーションなど、デザイン面をカバーする50人以上のスタッフで構成されている。

BEVの将来を考えると、内燃機関よりEVは他社と機能やスペックが似通ってしまうことから、デザインはこれまでより一層、顧客にとって重要な要素になると予想される。向上するテクノロジーとともに、デザインが単なるクルマの一部であるだけでなく、顧客のライフスタイルにも関わってくるものになっていくはずだからだ。

高級車という枠を超えて進化する、ベントレーのデザイン性の追究

情熱を持って製作され、愛情を持って仕上げられたベントレーのデザインは、今や高級車の枠を超えて、ライフスタイルの選択肢も提供するようになった。2013年から展開しているファニチャー部門『ベントレー ホーム』の家具は、顧客の個人的な好みに合わせて、どんなエレガントな家にも合うようにカスタマイズすることができるという。

ひとつひとつ手作業で仕上げられた作品は、伝統的なクラフツマンシップと新技術を融合させ、ベントレーモーターズに不可欠な技術とモダンラグジュアリーの原則を体現している。

印象的な家具は、伝統的なデザインとモダニズムのデザインの両方からインスピレーションを得て、ベントレーモーターズの個性と深い美学を表現している。新旧のベントレーモデルのシルエットと象徴的な形や、車のインテリアを特徴づける貴重な素材が、ベントレーホームの美しい家具たちに見て取ることができる。

ビスポークの家具だけでは物足りないという方のために、マイアミのサニーアイルズビーチに世界初のベントレーブランドのレジデンスを誕生させている。高級車のオーナーのために建設されたこのレジデンスには、複数の車を収容できるガレージと、特許取得済みの自動車用エレベーターが設置されているほか、最も魅力的な高級設備が完備されているという。

このタワーからは海と水路を一望でき、各戸に自然の美しさをもたらしている。持続可能な素材を随所に採用し、ウェルネスにフォーカスした、目の肥えた顧客のために創られたレジデンスとなっている。




デザインの未来へ、次の時代に向けて日々研鑽するベントレー

ベントレーが本社を構えるピムスレーン通りは、1938年に工場が建設されて以来、イングランド北西部のクルーにある、ベントレー社の中心的存在であり続けている。ベントレーは、 電動化に向けた旅をサポートするため敷地内をさらに開発する予定であり、ピムスレーンの重要性はさらに高まっていくだろうとしている。

ベントレーのビジネスの最も重要な分野の一つであるデザイン部門は、70年に及ぶ歴史を経て、次の時代に向け、今後数か月の間に新たなデザインスタジオの建設を始めるとともに、キャンパス内で最も象徴的な建物の一つに移転する予定だという。


【写真20枚】BEVへの取り組みで、進化を続けていくベントレー

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